子どもの学力を伸ばすには、やっぱり「ほめる」が正解だった

「非認知能力」とはなにか
本山 勝寛 プロフィール

まるごと受け止めてくれた

ペリー幼稚園では、読み書きや歌のレッスンのほか、週一回の家庭訪問で子どもとの遊びや話しかけのアドバイスなどを親にも行っていました。

ヘックマン教授の研究結果で注目すべきは、就学前教育によって子どものIQも一時的に伸びたのですが、その効果は8歳前後でなくなったものの、非認知能力の差は長期にわたって持続したという点です。また、子どもだけではなく、週一回という高頻度で定期的に家庭訪問し、親にもアプローチしたことが特徴だといえます。

ペリー幼稚園プログラムでは家庭訪問が毎週行われ、親へのアプローチが実践されていましたが、親子のコミュニケーションは実は、非認知能力を育むうえでとても大切な営みです。

 

私は母が早くに他界したと書きましたが、生前の母との一番の思い出は、母が絵本を読み聞かせをしてくれたことです。私は5人兄妹の4番目として生まれたため、母親を独占することはほぼできず、いつも兄妹で奪い合っていました。

夜寝る前、母が絵本を読んでくれていたのですが、甘え上手な一つ上の兄と末っ子の妹が母の両隣をとってしまい、恥ずかしがり屋の私は母の頭の上に寝そべって、聞いていました。それでも、母の特別な位置にいたようで、とてもうれしかった記憶があります。

幼少期の本山さん(左下)

まだ幼い頃でしたので、あまり深く考えていたわけではありませんが、このときに感じていたことは、「次のページをもっと聞きたい」「物語を最後まで知りたい」という気持ちでした。振り返ると、このときに物語や知らない世界への好奇心、最後までやり抜く(本を読み終える)達成感、が育まれていたのかもしれません。

もう一つ母との思い出は、母がよく私のことをほめてくれたことです。

私は恥ずかしがり屋で口数が少ない性格なため、自分から話をすることはあまりないのですが、母がよく「かっくんはとってもがんばり屋さんだね」、「集中力があるね」とほめてくれたり、ちょっとしたお買い物に一緒にいってお手伝いをすると「ありがとう。とっても助かったよ」と言ってくれていました。

家にゲームも自転車もなく、うちが貧乏だということは薄々感じていましたが、それでも自分に自信をもっていたのは母が自分の存在をまるごと受けとめ、よくほめてくれていたからだと思います。