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涙なしには読めない…武漢肺炎に最初に警鐘を鳴らした医師の「遺書」

彼は生きとし生ける者のために話をした

2月6日夜9時30分

「不条理の文学」と言われた作家、アルベール・カミュ(1913年~1960年)の『ぺスト』(1947年)が、世界各地で密かなベストセラーになっているという。猛威を振るう新型コロナウイルスに右往左往する人間の姿が、カミュが描いたペスト禍の世界と重なるからだ。

だが私はむしろ、カミュのもう一つの代表作『異邦人』(1942年)の方が好きだ。この作品も、カミュが生まれ育ったアルジェリアが舞台で、養老院から母親の死を告げる電報が届いたシーンから始まる。「きょう、ママンが死んだ」――。

 

先週2月7日の深夜、私のスマートフォンにも、チーンという緊急ニュースを伝える音が鳴った。

〈 李文亮医師が、2月6日夜9時30分に死去した 〉

私は思わず、床から飛び起きてしまった。このコラムで2週にわたって伝えてきた李文亮氏が死去したのだ。新型コロナウイルスの発生に対して12月31日、初めて警鐘を鳴らした湖北省武漢市中心病院の医師で、自らも感染し入院していた。享年34。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70225?page=2

故・李文亮医師と妊娠5ヵ月の妻・付雪潔、5歳の息子

李氏には妻と5歳の息子がいて、今年6月に妻が第二子を出産予定だった。李氏が死去した7日、妻がSNSで声明を発表した。

〈 私は付雪潔、襄陽出身で李文亮医師の妻です。私はどなたからも寄付を受け取りません。ネット上で流れている、私が援助を求めているという情報は、事実ではありません。

李文亮医師と私たちに手篤くしていただいた社会各界の方々に感謝します! 同時に、私は李文亮の「私は去る」という原稿を完成させます!