医師が教える、職場うつと診断された時に「やってはいけない」こと

心と体を自分で治す
森下 克也 プロフィール

また、転職について考えることも避けましょう。適応障害が改善し、冷静に物事を考えられるようになれば、転職以外の選択肢が見つかるかもしれません。感情に任せて退職してしまっては、後で取り返しのつかないことにもなりかねません

義務に駆られただけの無理な活動もしてはいけません。たとえば、「運動して身体を動かさないといけないんじゃないか」とか、「気分転換のために人と交流しないといけないんじゃないか」といった考えです。

周囲もそのように言いがちです。運動や旅行に治療的な効果があるかのように思うゆえの発言ですが、それは間違っています

 

なぜなら、自宅安静に入った直後というのは、それまでのストレスによって身も心も疲弊しています。そんな状態の時に、運動がいいからといって長い距離を走ったり、旅行が気分転換になるからといって、疲れた身体を引きずり電車やバスに揺られて心身が癒されるでしょうか。かえって気力と体力を消耗してしまいます。

まずは「ダラダラ」して、気力と体力の回復を図ってください。本格的な運動や旅行は、第二期の「活動期」まで取っておきます。「ダラダラ期」においては、リラクゼーションや気分転換がメインの、無理のない活動の範囲にとどめておきます

また、アルコールの多飲にも気を付けましょう。アルコールは睡眠のリズムを乱し、身体をむくませます。東洋医学的に言うと水毒を助長し、めまい、吐き気、咳、倦怠、下痢などを引き起こします。

しかし、これもまったくダメということではありません。晩酌のコップ一杯程度であればかまいません。公園への散歩、仕事以外の友人との会話、家族との触れ合い、そういうものも、苦痛がなく、自身の心の癒しになるのなら問題ありません

「ダラダラ期」によってもたらされる心と身体の変化

「ダラダラ期」をどう過ごせばいいかを意識し実践していると、最初は悶々と罪悪感に駆られていた人でも、おおよそ1カ月も経つころにはその意味を理解し、「ダラダラ」できるようになります

すると、仕事のことが気にならなくなってきて、「考えても仕方がない、まあここは観念して休むか」と受け入れることができるようになります。そういう気持ちに達すれば、「ダラダラ期」の目的はほぼ達成されたと言っていいでしょう。