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「死刑」を宣告した裁判官が語った「判決を読む時に考えていること」

精神を病む裁判官もいる
岩瀬 達哉 プロフィール

2人を殺した犯人もまた女性だった。B被告(犯行時39歳)は、家業の工務店の経営が行き詰まり金策に走り回るなか犯行に及んでいた。

最初の殺人は、知人女性に睡眠導入剤を混入した缶コーヒーを飲ませて絞殺。バッグの中から9500円を奪っていた。その10ヵ月後、今度はゴルフ仲間の薬剤師に借金を申し入れ、断られたことに激高。絞殺してキャッシュカードを奪い、200万円を引き出していたのである。

法廷で事実関係が争われることはなく、犯行時の心神耗弱状態が主な争点となった。責任能力の減退を理由に、刑の減軽を求めるというものだった。

「はっきり言って」と、強い口調で小松は言った。

「同じお金目当ての絞殺であっても、これは許さないという事件とはちょっと違っていた。犯人にも同情すべき事情がありましたから。責任能力のあることは、検察側の鑑定で容易に認定できた。あとは量刑をどうするか。これを詰めるのに、ものすごく苦労した。最初から結論ありきではなく、論点を整理し、それに関する資料を収集し、証拠を読み込み、合議に合議を重ね延々と議論したものです」

 

個人的には死刑には反対だが…

合議では、過去の死刑事案と、死刑を求刑されながら無期懲役になった事案とを洗い出し、どういう事情をどの程度重く見たのか、あるいは見なかったのかを子細に検討し、他の事情などとも照らし合わせ結論を導いた。

「僕は、個人的には死刑制度に反対なんです。だけど、裁判官になる時に、憲法違反でないかぎり法令に従うと約束しているわけだから。担当した事件が死刑以外にないと判断した以上、言い渡すしかない。嫌な役目だけど、これも裁判官が背負うべき宿命なんです」

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