一帯一路で出来上がりつつある巨大な市場にてデジタル人民元を流通させることができれば、デジタル人民元の一大流通市場が容易にできあがることとなる。
このような中国の野望を警戒しているのが、既存の通貨を有する米国や欧州であることは明白だ。
基軸通貨ドルをコントロールする米国政府のムニューシン米財務長官は昨年末、「今後、5年間は公的なデジタル通貨を発行しないだろう」と述べたと伝わっているが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル理事は「デジタル通貨について注目している」とも話していることから全く無視しているわけではない。
一方、欧州のユーロ側は、今年1月に欧州中央銀行(ECB)が、日本銀行、イングランド銀行、カナダ銀行、スウェーデンのリクスバンク、スイス国民銀行、国際決済銀行(BIS)が参加するグループにて、各国・地域における中央銀行デジタル通貨の活用可能性の評価に関する知見を共有すると発表した。
同グループは、「中央銀行デジタル通貨の活用のあり方、クロスボーダーの相互運用性を含む経済面、機能面、技術面での設計の選択肢を評価するとともに先端的な技術について知見を共有する」と説明している。
ECBはすでに独自のデジタル通貨が実現した場合の解決策などを検討していたほか、イングランド銀行も以前からデジタル通貨への関心を高めていた背景がある。
じつは、日本も出遅れているわけではない。