『3年B組金八先生』第6シーズンはLGBTドラマの金字塔である

このドラマから社会の流れは変わった
高堀 冬彦 プロフィール

現在は違う。社会はかなり変わった。博報堂「LGBT総合研究所」の2016年の調査によると、職場や学校でのLGBTの人への理解や配慮について、「重要」と考えている人はLGBTの人のうち52%、そうでない人の43%もいた。多くの人が、LGBTの人のことをもっと考えるべきだと思っているのだ。偏見を持つ人のほうが批難される時代になったと言っていい。そんな変化に後押しされる形で、堰を切ったようにドラマが作られるようになったのだろう。

『おっさんずラブ』のヒットも他局を刺激したのは間違いない。また、NHKの場合は「LGBTの人のドラマを」というリクエストが上層部から現場にあったという。NHKは視聴率より質や社会的意義を重視する。LGBTの人の生きにくさを解消するのは社会の要請だから、公共放送であるNHKがそれに向けてドラマを作るのは当然なのだろう。

「鶴本直」という存在

では、ドラマで最初にLGBT問題が取り上げられたのはいつだったのかというと、2001年のTBS『3年B組金八先生』第6シリーズだ。上戸彩(34)が演じた女子生徒・鶴本直がトランスジェンダーだった。

上戸彩は当時16歳だった(画像/TBSチャンネルより)
 

直は人権意識も高く、それゆえ周囲とぶつかる。ある日はクラスメイトに向かって、こう叫んだ。

「人間の体をからかいの対象にするな」「男でも女でもない子供が生まれたら、どうする」

これらの言葉にクラスメイトは全員、反発した。放送から約19年しか過ぎていないが、時の流れを感じさせる。今なら、クラスメイトの相当数が直の意見のほうに同調しないと不自然だろう。直はあらゆる個人、個性の尊重を訴え続けた。やがて、金八先生(武田鉄矢、70)や養護教諭・本田知美(高畑淳子、65)のサポートもあって、直はクラスメイトと折り合う。もともと直が主張していたのは、あらゆる人の共生なのだから、それは当然の結果とも言えた。