20〜24歳では85.5%が事実婚
フィンランドで事実婚は、親密な関係にある2人が一緒に住むこと。同居を始めた時に、事実婚は始まる。
同居することが条件なので、単なる同居人の2人が、その関係を事実婚と偽れなくはない。しかし、親密な関係にあること、近親関係など結婚の妨げになるものがないことが条件なので、友人や兄弟姉妹などの2人の同居は事実婚ではない。
事実婚は若い世代で多く、35〜39歳以降で減少していく傾向がある。2014年の統計では、20〜24歳では85.5%が、25〜29歳では63.3%が事実婚である。ただし、異性か同性かについては統計がなく、その内訳は不明である。
社会保障は変わるのか
事実婚をした場合は、社会保険庁に知らせることが推奨されている。受けられる社会保障が変わることがあるからだ。
扶養手当、住宅手当、 失業手当、失業中の追加児童手当、特別なケアを必要とする子ども手当、国民年金などは、事実婚の2人の収入を合計し、家族の人数を考慮に入れて算出される。
そのため、事実婚をする前に比べて金額が増減することがある。事実婚カップルに対する社会保障は、異性同性に関わらず同じである。
姓をどう決めるのか
従来、事実婚の場合、姓の選択肢はなく別姓だったが、2018年の法改正によって変わった。
最低5年間の同居、2人の間に生まれた子どもがいる、2人が共同で養育する子どもがいることのうち、どれか1つを条件として同姓、または片方が複合姓にすることが可能になった。複合姓は、自分の旧姓と相手の姓を並べた姓である。つまり、事実婚では同性、別姓、片方が複合姓の3つから選べるようになった。
これは、日本とは大きく異なる。日本の法律婚(正式な結婚)で、夫婦同性は義務である。夫婦同姓しか認められていないので、旧姓を維持するために事実婚を選ぶ女性も少なくない。フィンランドでは、夫婦同姓は法律婚で得られる権利と考えられてきた。その権利を事実婚にも広げたのだ。