米中覇権争いの中、イギリスが「大胆な外交戦略」を描く理由

ブレグジット後、一体どうなるのか?
笠原 敏彦 プロフィール

「5G」をめぐるイギリスの対応

イギリスはその後、テリーザ・メイ前政権下で対中宥和路線を修正。EU離脱を果たしたジョンソン政権がいかなる対中政策をとるのか注目されているのが現状である。

そうした中で浮上してきたのが、米中ハイテク覇権争いで焦点となっている次世代通信規格「5G」をめぐるイギリスの対応である。

アメリカは、中国の通信機器大手「ファーウェイ」を情報漏洩やサイバーセキュリティへの懸念から「安全保障上の脅威」と位置づけ、同盟国に完全排除するよう圧力をかけている。

特に、最大の同盟国として密接に機密情報を共有するイギリスに対しては、参入を認めた場合、情報提供を制限するなどと強く警告していた。

 

しかし、イギリスは1月28日、この警告をはねつける形でファーウェイ製品の限定的な使用を認めることを決めた。

イギリスの下した決定は、ファーウェイ製機器の使用について、原子力や軍事施設などの国家重要インフラ、通信網の中枢部分からは排除した上で、機器調達率も35%を上限とするというものだ。

トランプ大統領はこの決定に激怒し、イギリスに強く再考を求めているという。

アメリカの警戒感の背景に、イギリスの動向が他国に影響を及ぼすことへの懸念があることは明らかである。それは、先にみたAIIBのケースが証明している。

しかし、イギリスが決定を見直すことはないだろう。

なぜなら、ブレグジット後のイギリスにとって、チャイナマネーの重要性は益々増しているからだ。