仕事で久々にパリを訪れた折に、男友達が食事に連れていってくれた。メニューを開きながら私はその友達に聞いた。

「あなたはフランス人なんだから、当然美味しいワインを選べるよね?(冗談で言っています)」

男友達「フランス人だってソムリエじゃない限り、その日の気分にあったワインを嗅覚で選ぶなんて無理だよ。でも、人間は視覚的な生き物だから、ワインを嗅覚じゃなくて視覚で選んでみようか

「ワインのラベルってこと?」

男友達「ううん。今、頭に思い浮かぶ色を言ってみて。澄んだ色? それとも温かい色? そして、どんな気分になりたい? すっきりしたい気分? それとも、まったりしたい気分?

実はワイン通な彼。でも、「ブルゴーニュの葡萄畑はうんたらかんたら……」なんて知識をひけらかしたら、相手が興ざめしてしまうことを知っている。だから、遊び心をもってワインを選んだ。さらに、女性に質問をしながら選ぶことで、「彼は私に興味がある」「私を尊重してくれている」と思わせる効果もある。フランス男は女性を喜ばせるツボを驚くほど心得ているのだ。フランス映画でよく見かける小粋でオシャレな会話は、あながち嘘ではない。

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一体、このフランス男の性(さが)はどうやってつくられるのだろうか? と長年思っていたのだが、昨年末にパリで友人宅に滞在したとき、まさにそれがつくられる現場を見てしまった。