「夢の若返り薬」最新情報 今井教授が語る「こうして長生きする!」

世界が注視する「抗老化」最先端研究(1)
木野 活明 プロフィール

長寿のための食生活、日常生活。危険なダイエット

今井教授が今後の展開をこう予測したうえで、手が届く価格になるのが待ち遠しいが、今井教授は、通常の食品の中にNMNが含まれていることも教えてくれた。
「例えば枝豆、アボガド、ブロッコリー、トマトなど、野菜フルーツ系に入っています。肉や海産物にはあまり含まれてはいません」

上記の食品なら、手軽に日常的に取ることができるだろう。

そして、抗老化を妨げとなるのが、無理なダイエットや偏った食習慣だという。若い人たちが痩せるために安易に無糖食や炭水化物ダイエットを行うのは危険だと指摘する。

「BMI(体重と身長の関係から肥満度の標準は22とされる)が20を切る若い女性が増えていますが、女性で20を切る方は60代以降になると神経系の疾患や心臓、血管系の疾患、感染症で死亡する率が飛躍的に増大します。若いうちはNADが十分にあるのであまり気にしなくていいですが、お歳を召されてきたら、ちょっと小太りの方がNADを維持するにはいいんです。脂肪は、重要な老化のコントロールセンターになっている視床下部のNADを支えるための必須の働きをしています。そのため脂肪があまりないと、高齢になってからNAD合成が機能しなくなり、あらゆる病気に罹りやすくなって早死にするリスクが高まってくるのでは、と私は予想しています」

 

食習慣の指摘は、働き盛りのサラリーマンには、特に耳が痛い。

「日本人の現代生活は夜遅く帰り、炭水化物やラーメンなど高カロリーのものを食べる。これは老化と寿命の制御の観点からは完全にアウトです。日本人が欧米人より太っていないのに糖尿病患者が多いのは、こうした不適切な生活スタイルが大きく関わっていると思います」

NADの機能を高めるために重要なのは、体のリズムだという。

「NAMPTを増やしてNMNの産生を高めるのは運動です。すでにヒトやマウスで運動によって骨格筋のNAMPTの量が増えることは証明されています。体が本来持っているリズムを正確に整えることが大事です」

そして、やはり夜型より朝型の生活習慣がいいのだ。

「NAMPTもNADの産生にも周期があります。マウスは夜高いのですが、ヒトは昼間高く夜低くなります。要するに活動期に高くなる特徴を持っています。毎日のNADのリズムを乱さずに効果を高めるためには、NMNを少なくとも午前中に高めるのが重要です。活動期の最初に最も高いカロリーを取ること。つまり朝食に最も栄養価の高い食事をとり、運動と睡眠のコントロールセンターである視床下部のリズムがきちんと保たれる生活をすることが大切なのです」

自身の食生活でも、実践していることだという。

「朝から、ステーキも食べますし、でかい魚も食べます。2014年以来、私と家内は普通の方が夜に食べるようなものを、朝に食べています。昼は普通に食べて、夜はほんのちょっと食べるだけなのです」

ある日の今井教授の朝食(今井教授提供)
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