そんな時、これからは娘から聞いたこのケースを話してみようと考えた。娘のお友達はたぶん「ジェンダー」なんていう言葉は知らない。でも「お友達にいじわるはしない」と考えて、男の子をお姫さまごっこに迎え入れた。そして一緒に楽しく遊んだ。娘は「それはジェンダーじゃなくて意地悪の問題」と本質を看破した。

娘が今回の原稿のために話の要点をまとめてくれたメモ
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そういえば、私が会社員だった10年近く前、妊娠の報告をしたら、50代の男性上司は開口いちばん「おめでとう!」と周囲に響き渡る声で喜んでくれた。部署は人員不足だったから、産休育休でしばらくいなくなる私をカバーするため、他の人の仕事が増えてしまう。上司はそういうことに一切触れず、「いつから休んでいつから復帰するの?」とだけ尋ねたのだった。彼はおそらく「ジェンダー」も「ダイバーシティ」も知らなかったはずだ。それでも私にとっては最良の上司のひとりだった。

バズワードは年々変化していくが、本当に大切なことはシンプルだ。「いじわるしない」。新しい用語を覚えるのに疲れたら、5歳児の道徳規範に照らして、それは正しいことなのか考えてみたらいい。