自衛隊の現役幹部、衝撃告白「災害支援隊になってゆく私たちの葛藤」

知られざる内外の懸念
松岡 久蔵 プロフィール

ある防衛省幹部は、こうした米軍の本音を筆者が伝えると「返す言葉もない」と恐縮した。

「私も組織の人間ですから申し上げにくいのですが、その通りと言わざるを得ない。

勘違いしないで欲しいのは、個別の部隊は優秀なんです。真面目に訓練もしている。問題は、そういう部隊がどう動くべきかをマネジメントする人材が圧倒的に不足しているということです。計画にない不測の事態に対応できる力、異なる文化の組織とうまく協働する力、これらが圧倒的に足りていない。

これは自衛隊の訓練の仕方にも問題があります。たとえば演習では『攻める側はひたすら攻めて、守る側はひたすら守る』というような訓練をしているのですが、テロリストやゲリラと対峙した際に、相手がそのような折り目正しい攻撃をしてくるでしょうか?だまし討ち、ゲリラ戦法なども序の口でしょう。

しかし、訓練で不意打ちをすると『卑怯だ』とののしられる。これでは臨機応変な戦闘なんてできっこない。まさに『訓練のための訓練』をしているだけだ、と言われても仕方ありません」

 

進むべき道がわからない

組織をどう構築し、どう活かすかというビジョンがなく、現状維持と前例踏襲に縛られて現場の効率が上がらず、全体のパフォーマンスが停滞する――この悪循環は、日本型組織が陥る典型的な病理だ。陸自もその例に漏れない、いや、日本でも有数の「ダメ組織」であると若手の陸自幹部は明かす。

「企業では『働かないオジさん』が問題になっていますよね。自衛隊もまったく同じですよ。

陸自の組織では、一般企業でいう課長クラスの1佐以上に昇格すると、多くの人は仕事の負担が圧倒的に減ります。そこに昇格するまでは、朝5時起き・残業はエンドレスのブラックな労働環境なのですが、そこから抜け出してしまえば、部下からと忖度される側になり、とことん物を考えなくてもよくなってしまう。

広報対応などの業務はすべて部下が応答要領を書いてくれるし、間違っていた場合は当然部下が責任をとる。時間とエネルギーが余るので、組織内政治に走る人、筋トレばかりして『サムライ化』する人、部下の仕事の重箱の隅をつついて現場を混乱させる人が出てくる。

編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/