中国はアメリカに勝てるか…全世界から有能人材を集める最強国の力

アメリカは寛容性を失いかけている
野口 悠紀雄 プロフィール

中国という異質な体制の国家

中国は、この点でアメリカの対極にある。

中国が覇権国家になりえないとチュアが言うのは、このためだ。
 
チュアは、能力の高い中国人はアメリカに留学する。そして中国に戻らず、アメリカで働き続けることを重視するという。

中国は、最も重要な成長の根源を、自ら捨てているのだ。

中国を自由世界に対する脅威と考える背景には、共産党一党独裁という中国の政治システムがある。

これは、欧米や日本などの民主主義諸国の体制とは極めて異質なものだ。

そうした体制は、人々の自由な活動を抑圧し、長期的な経済成長にネガティブに働くだろうと、われわれは考えてきた。個人の権利制約が加えられる社会は、優秀な人材を集められないだろうと考えてきたのである。

 

この連載で、「現在生じていることは、歴史の正常化なのかもしれない」と述べた。

「中国はこの数百年間、世界の進歩に遅れをとっていたが、それは人類の長い歴史から見ると例外的な現象だったのかもしれない」という考えだ。

そして、そうした「異常な期間」は、終わりつつあるのかもしれないということだ。

これからは、中国が世界一の経済大国となり、基礎科学の面で世界のトップを走る。そのような世界が実現するかもしれない。これが「歴史の正常化」という言葉で意味したことだ。

確かに、そのようなことは起きるだろう。だが、中国の異質性を考えると、それは、中国が世界の覇権国になることを意味しない。中国は、理念の上で世界をリードする国にはなりえないのだ。

編集部からのお知らせ!

関連記事