Photo by iStock

「10億円の不動産」をめぐる兄弟の相続トラブル、波乱の結末

骨肉の争い、どうすれば防げたか?
他人事ではない不動産の相続トラブル。家族を守るためにも、元気なうちにやるべきこと、知っておくべきことがある。著書『税理士が知らない不動産オーナーの相続対策』で知られる専門家集団、「財産ドック」は、口約束はトラブルを招くと警鐘を鳴らす。実際のトラブル事例をもとに、「遺言書」を残すことの重要性を説いてもらった。

自宅をめぐる兄弟の争い

大阪市にお住まいのBさんのケースです。Bさんは五人兄弟の末っ子で、会社を経営していたご両親とともに暮らしていました。

Photo by iStock

Bさん以外の四人の兄弟は家を出る際、お父様から独立のための支度金をもらい、それぞれ独立していきました。Bさんはご両親と一緒に住むことを決めていたため、お父様からは支度金を渡す代わりに自宅を渡すということを伝えられていたそうです。

その後、お父様は亡くなり、自宅はお母様が相続しました。Bさんはその後もお母様の面倒を見ながら生活し、お母様からもBさんに自宅を相続させることを伝えられていました。

ちょうどバブルの終わり頃、お母様が病気で亡くなりました。Bさんはかねてからのご両親との約束通り、自宅は自分が相続するものと考えていたそうです。もちろんご両親の意向は他の兄弟も聞いていたので、Bさんはトラブルなく相続できるものだと思っていました。

 

しかし、お母様が亡くなってすぐ、Bさんのお兄さんである三男が、自宅を自分の法定相続分である5分の1の持分で勝手に登記してしまったのです。この頃はバブル全盛期ということもあり、Bさんが相続する予定だった自宅には10億円近くの市場価値がありました。

お兄さんたちは家を出る際にお父様から支度金はもらっていたものの、Bさんが相続する自宅の価値に値するほどの大金はもらっていません。四人のお兄さんたちはこれに納得できず、Bさんの意見を聞かずに三男が勝手に登記を行うことを了承したようなのです。

しかし、これにBさんは納得できません。ご両親が自分に自宅を託すと言っていて、家族全員が承知していたのにもかかわらず、それらを全てなかったかのように勝手に登記してしまったわけですから。しかしお母様が遺言書を残していなかったため、Bさん以外の兄弟は、この登記に関して問題はないと主張してきたのです。