アマゾンはなぜ「カメラ付き冷蔵庫」を作ろうとしているのか

テクノロジー基礎教養が必須になる理由
現代新書編集部 プロフィール

このディープラーニングの精度を高めるには、大量のデータが必要だ。それには「大量のデータを蓄積する」ためのテクノロジーであるクラウドが必要になる

クラウドは、個人や企業がサーバーやネットワークを保有しなくても、インターネットを通じて必要なときにサーバー機能やネットワーク機能を使えるという技術だ。グーグルアマゾンなどクラウドサービスを展開する企業が、世界各地に大量のサーバーを並べたサーバールームを保有し、非常に安い価格でサービスを提供している。データの保有だけではなく、データの処理までクラウドがサービスとして行ってしまう点に特徴がある。

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また、大量のデータを保有する場所があっても、データを送る機能が不十分では有効に使えない。2019年から「データを大量かつ高速に送る」通信テクノロジー、5G(フィフス・ジェネレーション)が始まった。5Gはそれまでの1Gから4Gとは異次元の「高速・大容量」「低遅延」「同時接続」を実現した。

FAANG+MとBATH

データを大量・高速に送受信する5G、データを保存・処理するクラウド、そしてデータをもとに判断を行うAI……3つが組み合わさるトライアングルになることで、それぞれのメガテクノロジーは最大の効果を発揮できる

 

優れたAIは、「データの量」と「良質なアルゴリズム」の掛け算によって生まれる。つまり、世界をリードするAI開発のためには5Gやクラウドのインフラが不可欠である。その点に早くから気づき、この基軸となる3つのメガテクノロジーを開発し続けてきたのが、かつてのGAFAに2社を加えたアメリカ企業群のFAANG+M(フェイスブック・アマゾン・アップル・ネットフリックス・グーグル・マイクロソフト)であり、彼らを猛追しつつある中国のBATH(バイドゥ・アリババ・テンセント・ファーウェイ)なのである。

図にも掲げた「自動運転」「スマートホーム」「ドローン・ロボティクス」といった、次代の主力となる業界・企業群などは、ほぼすべてがこのトライアングルの力によって生まれているといってよい。逆に言えば、従来の企業は、このトライアングルの力に合わせて主力製品や業務内容を急ピッチで変えていかなければ生きていけない。なぜなら、ある企業が、どんなに優れた製品を独自に開発したところで、データやAIという根本を押さえているFAANG+MやBATHの技術やサービスを採り入れなければ、結局のところ、彼らやライバル企業には勝つことができなくなるからだ。