小西恵美子さんは、24歳のときにリウマチを発症し、長年闘病を続けてきた。薬漬けの日々を脱却したいと、鍼灸やツボナージュなどの東洋医学も学んで体質改善の決意をしたのは、発症してから20年近く経ってからのことだった。

そして今、発症より30年経って、一番体調がよく、薬のない生活を送っている。治療法については小西さん個人の体験ではあり、治療の効果は個人差があるが、身体の仕組みや栄養の意味を知り、身体本来の力を強めるのは、健康な体の人にとっても大切なことではないだろうか。

食事の摂り方や歯の磨き方なども学び、徐々に自身の身体の力を強くしていった小西さん。しかしそのときに二人暮らしをしていた父親が病に倒れた。骨髄腫だった。リウマチの身体で介護を始めた小西さんは一時期倒れんばかりだったが、飼い犬に癒されながら、闘病しながらの介護を続けられていた。最終回となる連載の今回は、そんな父親の死が教えてくれた、健やかな生き方と逝き方についてまとめてもらおう。

小西さんの今までの連載はこちら

91歳の父が急に衰える

父は痛いとか、つらいという自覚症状はないと言うが、急に衰えたので、ホームドクターのクリニックで血液検査をした。「アルブミン」が2.2g/dlしかない。4.3 g/dlあれば、健康でいられるが、半分だ

アルブミンは身体の栄養状態、なかでもタンパク質の状態を示す指標である。血液中のさまざまな物質を運び、体液の濃度を調整する働きがある。値が少なくなれば、栄養が各所に運べず、体重が減ってくる。そうなると生活機能障害も起きてくる。この数字を見て先生は渋い顔をした。

分子整合栄養医学の先生から、アルブミンとヘモグロビンが保たれていれば、死ぬことはないと聞いていた。ということは、かなり厳しい状態になっている。

私はタンパク質が摂れる食事を用意した。鶏肉のムネ肉に蜂蜜を塗って焼くとやわらかく、食べやすい。甘みも気にならず、おいしいと父は気に入っていた。また魚や大豆料理を出すようにした。

父の脚の皮膚に赤い湿疹ができた。長芋をすりおろしてオクラを切ってまぜ、海苔をかけて、ポン酢で食べるといいと聞いたので、4日続けて夕食に出すと炎症はなくなった。快復力は残っていた。

筋肉をできるだけ落とさないように、家の中でイスに座って両手をあげたり、前に伸ばしたりする。イスの背に手をかけてつま先で立ち、かかとをストンと落すといった体操をしていた。また散歩に誘うと行くと言う。すり足のようにして歩くが意欲はあった。

椅子に座って両手を上げたり足を伸ばしたり。こうして筋肉をできるだけ落とさないことで「寝たきり」の予防にもなる Photo by iStock

食事は用意したものは全部食べた。ゆっくり噛んで、誤嚥しないように注意深い。アルブミンの数値が2.2だとは思えない状態だ。

9ヵ月後、ホームドクターに健康状態を診てもらうために往診を頼むと言えば、タクシーで行くと言う。生きる力は残っていた。