1年間で高額な医療費がかかった場合、申告すれば、税金が戻ってくる「医療費控除」は、多くの人がご存じだろう。
一方で、“高額な医療費”といえば、健康保険の「高額療養費」を思い浮かべる人も多いはずだ。
今回は、わかっているようで、わかっていないそんな「医療費控除と高額療養費の違い」や、同じ医療費でも、この「2つの制度の恩恵をダブルで受けられるもの、受けられないものがあること」についてお伝えしたいと思う。
知らないと損をしてしまうケースもある。しっかりとした知識をもつことで家計防衛に役立てて欲しい。
まず、この2つの制度の概要から違いを比較してみよう。
医療費控除は、1年間(1月1日から12月31日)に一定額以上の医療費を支払った場合、納めた税金の一部が戻ってくるという税制上の制度である。
一方の高額療養費は、病院や薬局等の窓口で支払った金額が、1ヵ月(歴月)で、一定額を超えた場合、その超えた額を支給するという、健康保険などの社会保険の制度だ。
つまり、そもそも、この2つは、それぞれ税金(所得税・住民税)と社会保険(医療保険)という異なる制度のしくみである。
したがって、まずは運用先や申請先が違う。