なぜ「PayPay」は赤字なのに“大盤振る舞い”を続けられるのか

得をしたいなら今のうち
美崎 栄一郎 プロフィール

PayPayの戦略は謎だらけ

当時の資生堂は、ヘアケアのブランドはあまり有名でなく化粧品がメインでした。そこに会社のロゴマークにもある椿をブランド名に冠したヘアケアブランドをスタートさせます。

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おそらく初年度の売上と同じくらいのマーケティング費用をかけて大大的にプロモーションをかけ、一気に認知度を上げ、高級ヘアケアブランドとして成功を収めました。

例えば、私の勤めていた花王では、マーケティング費用は売上に対して10%程度に収まるようになっていました。どこのメーカーでも同じようにかけられるマーケティングコストが決まっているはずです。1000円の商品を作って、1000円の宣伝をすれば、材料費などかかった費用がすべて赤字になってしまいます。ですから、10%程度に収まるように自制するわけです。

クレジットカード会社の決済手数料が仮に3%とすると、100億円の手数料を稼ぐには、3333億円の売上が必要です。ソフトバンクの売上高は2兆円規模ですが、新しく3333億の売上を積むのは容易なことではないと考えられます。

QRコード決済を日本で普及させたとしても、普及させるコストがかかります。100億円のキャンペーン費用の他に、最初は使える店がありませんから、使える店を開拓する費用も必要です。

 

ヤフーBBのモデムと同じように、ユーザーが増えることによって、加盟するお店にもお客が流れてきますから、加盟する意味があります。

最初は家電、コンビニと大手が多かったですが、その後、いろいろと加盟店を増やす施策を着々とやっていました。私はキャッシュレスな生活を送るために、ペイぺイが新しく加盟店を増やすと使い勝手を試しに行くわけですが、どんどん加盟店を増やしているのが体感できました。

東京より地方に行ったほうがよく分かります。ペイぺイは、加盟店の手数料が無料なので、零細なお店でも入りやすい。それもQRコードのついたシールを貼るだけでスタートできますから。

この手数料は、2021年9月末まで無料と発表されています。そこで、また、疑問が起こります。なぜ、そこまで無料なのか? ソフトバンク携帯やヤフーBBのときは、月額の利用料収入はあったわけですが、ペイぺイだとそれは2年間入ってこないことになりますからランニング費用はずっと持ち出しになってしまいます。