「聴覚過敏」って、何だ!?
どういうことかというと、教室にいると様々な音が全部聴こえてきて、疲れてしまうんだそうです。チャイムの音、みんなの話す声、机やイスが動くときの音などが、ザワザワと耳を刺激してくるのです。
私たちは普段、無意識に「聞き流していい音」と「拾う音」とを耳でわけて音を聞いています。しかし発達障害がある人の中には音をわけることができず、全部同じボリュームで聞き取ってしまう「聴覚過敏」という特性のある人がいるんです。息子がまさにそれで、騒がしい場所だと音だけで疲労してしまうんだそうです。

聴覚過敏にもいろいろありますが、人によっては金属音や高音がやたら大きく聞こえたり、映画館に入ると音響がよすぎるので鼓膜が痛くなるといった話を耳にしたことがあります。
息子の場合は、音に疲れて処理能力の限界を感じると、目の前が真っ白になってしまい立ちくらみがするんだそうです。ブラックアウトではなく、強い光が差したように白くなるといいます。
こんな面倒な特性がある息子に言わせると、
- 「狭い教室に40人近い人間が押し込まれている状態はオカシイ! そんなところで集中して勉強なんかできない!」
- 「長時間、他人と近い距離でいるなんて無理」
だそうです。
発達障害の人の中には、パーソナルエリアに他人が入ると苦痛に感じる人がいるといいます。そのタイプの場合は、結婚しても自分だけの部屋が必要だったりするようです。息子は、私が想像するよりずっと教室で窮屈に感じていたみたい。そのことに、ようやく私も気がついたのでした。
息子はもう、小学生じゃありません。私が配慮してあげようにも時すでに遅しですが、それでも理解できたことで
「あの頃は気がついてあげられなくて、ゴメンね」
と謝ることができました。
聴覚過敏は、子どもの力ではどうすることもできません。落ち着きのない子を見るとつい注意したくなりますが、子どもに怒るのではなく、親や周囲の大人が気がついて、サポートしてあげられるといいな、と思ったのでした。

※マンガは著者の最新刊『発達障害 僕にはイラつく理由がある!』(講談社)より引用しました。
本記事でご紹介の本はこちらです
- 著:かなしろにゃんこ。
- 監・解説:前川 あさ美
- 定価:本体1,400円(税別)
- ISBN:978-4-06-516273-6
- 判型:A5
- ページ数:178ページ
- 《発売たちまち重版!》
- 《反響続々……「こんな本が欲しかった!」「うちの子と同じ!」》
発達障害の子ども本人が「問題行動」のわけを語る!くり返される行動は「自分を守るため」だった! 子どもの「困った行動」を解決する工夫とヒントが満載の1冊です。読んでめちゃくちゃ面白い! 家庭でも教育現場でも役に立つ傑作!! ぜひ手に取ってみてください!!!