# ホラー

「犬鳴村」が“日本最恐”と呼ばれる存在になった「納得の理由」

映画公開でも大きな話題に
朝里 樹 プロフィール

犬鳴村の恐ろしさが際立つワケ

では他の地図から消えた村の伝説はどうだろう。

新潟の廃墟となったキャンプ場を舞台にして語られる「新潟ジェイソン村」は、解離性同一性障害を患っていた一人の少女が自分の家族や村人を襲い、一夜にして殺戮した、という伝説で、やはり出てくるのは少女の霊や殺された村人たちの霊だ。

近年になってインターネット上に書き込まれた「巨頭オ」は、かつて一度だけ行ったことのある旅館を目指し、記憶を頼りに車を走らせた青年が、記憶の中とは違う、廃村と化した村に迷い込む。そしてそこで東部が異常に発達した村人たちが頭を左右に振りながら迫ってきたため、慌てて逃げ出した、という怪談になっている。

Photo by iStock

ここに出てくるのは生者か死者かもわからない正体不明の存在だが、危害は加えられない。そして村の具体的な場所も分からない。

こうして考えてみると、犬鳴村がこれほどまでに有名となったのは、確実に存在する犬鳴峠の影響が大きいことが理由として挙げられるだろう。実際に殺人事件まで起きているこの心霊スポットの向こう側に存在するという話が、常識の通じない恐怖の村が本当にあるのかもしれないという説得力を持たせている

 

これは実在の事件がモデルとなっている杉沢村も同様だろう。こういう怪談は、本当にあるかもしれない、という感情を抱きやすいほど、怖くなるし、人に話したくなる。

地図から消えた村の怪談には、それぞれの恐ろしさ、そして公式の記録から消えたとされる理由があり、魅力がある。しかし、犬鳴村は犬鳴峠との二段構えになることでそこにあるかもしれない恐怖により説得力を持たせている

これが日本で最も有名な地図から消えた村の伝説のひとつとなり、時には日本最恐の心霊スポットと称されることとなった理由ではないだろうか。