「ひとりじゃない!」の活動がAYA世代で広がる

さて、御舩さん率いる『Pink Ring』も、岸田さんが主宰する『がんノート』と同様に、「あなたは一人じゃないよ、同じ境遇の仲間がいるよ」と孤独を抱える同士たちに呼びかけることが大きな目的だ。

「11人に1人が乳がんになると言われていますが、AYA世代は全体のわずか6%で、全国に点在しているため、同じ病院でなかなか出会えず孤独に病気と向き合っているのが現状です。がんになると、その状況に合わせて人生を再構築していくのですが、同じ境遇の人が集まるコミュニティに参加した方が『仲間に出会って、人生のパズルの中で探していた最後のピースが見つかりました』と話してくれたことがあります」(御舩さん)

Pink Ringの一参加者だった人が、自分の住む場所にもそういうコミュニティを作りたいと活動を始め、現在は全国4エリアにまで広がった。2月1日は、全国中継による“Pink Ring Summit”と言うイベントも開催された。

「一人で考えても、自分がどうしたいのかわからなくなってしまうことがあるけれど、同世代でがんを経験した人に出合って色々な価値観を知ることで、自分の価値観が明確になることがあります」(御舩さん)

Pink Ringでは、正しい情報を知るという観点から医師や専門家らの協力を得て、AYA特有の医療情報(妊孕性や遺伝など)の事、社会的な問題(お金や仕事、美容など)にも重きを置いたサイトへ、昨年12月リニューアルした。さらに、外出できない人でも参加できるウェブでのおしゃべり会も開始。海外在住の参加者もいるという。

御舩さんは、5年間のホルモン療法を終えた後、一度は流産したが、39歳で母親になった。

「私はたまたま妊娠しましたが、そうでない人もいます。ただ子供が欲しいと願い、その手段があるのであればと、可能性に挑戦しました。がんをきっかけに子供を持たない人生を選ぶ方や、養子縁組を選択する方もいて、人それぞれが正解だと思っています。

ただ、がんになって、命が救われただけでは人は救われない。自分がこれからどう生きたいか、どうなりたいかというのはそれぞれが大事にしてほしいし、そこは絶対に諦めなくていいことだな、と思っています」(御舩さん)

岸田さん、御舩さんのように、人数では少数派のAYA世代は、私の年代とは全く違うツールを使い全国にいる仲間に呼びかけてつながり、「私たちはここにいるよ」と世間にその存在を示している。フレキシブルな発想を生かし、アクティブに情報発信してくれているのが頼もしい。白血病を罹患した池江璃花子さんや、以前インタビューした乳がんを罹患した元SKE48の矢方美紀さんのように、AYA世代でがんを包み隠さず公表する有名人も多く、がんを隠さなくていい世の中に動いている。その流れを牽引しているのはAYA世代かもしれない。

清原翔演じる研修医も患者とともに妊孕性について学び、考えていくシーンも。写真/フジテレビ