黄鉄鉱 Photo by Getty Images

驚くべき「水素の隠れ家」! 「愚者の金」が賢者に研究されるワケ

「黄鉄鉱」の真価は本物を超えるかも?
外見は金そのもの。でも金とは似て非なるもの。その名は「黄鉄鉱」。金と間違えられることから「愚者の金」として知られている。

その有用性もわからず、残念な鉱物だと考えられてきた。しかし近年、意外な活用方法が発見され、最新の研究で実用化に向けた課題解決への手がかりが得られた。

「黄鉄鉱」は価値がない……こともない!

想像を絶するような富への夢を駆り立て、そして打ち砕くことで知られる「黄鉄鉱」は、その本名よりも「愚者の金」としてよく知られている。

 

その黄色味を帯びた金属光沢は古くから多くの人を騙し、結果として近代アメリカをかたち作るのに役立ったのだが、くわえて、個人の幸と不幸をも左右した。たとえば、ある愚かな男が「黄金の丘」を持つ女性と結婚したところ、(お察しの通り)黄鉄鉱の丘だった、という自業自得の話もある。

黄鉄鉱 Photo by iStock

黄鉄鉱には財貨としての価値はないだろうが、黄鉄鉱にまったく価値がないということではない。少なくとも、潜在的価値はある。近年、科学者たちは半導体、とくに太陽電池や他の再生可能エネルギー関連で黄鉄鉱を活用できないかと考えている。

太陽電池 Photo by iStock

ところが、前途有望であるにもかかわらず、そううまくはいっていない。 理論的な予測に比べて、光電変換効率が悪く、しかもその理由はまったく分かっていない。

しかし、この効率の悪さの謎を解くための突破口が開かれようとしている。高エネルギー加速器研究機構(KEK)と総合研究大学院大学(総研大)による最新の研究で、材料内部に潜在する水素原子がこの問題に関係していることが分かってきた。

水素は「忍者」のよう!?

多くの人が、周期表の一番初めにあって最も単純な元素である水素のことを、たんなる気体だとか、あるいは燃焼性のこととか、燃料電池に使われるなどと考えるのではないだろうか。