100万人の子どもが「読む楽しさ」に目覚めた…講談社おはなし隊の20年

たくさんの本に触れる「非日常」
飯田 一史 プロフィール

――おはなし会で読む本、子どもたちに人気の本の傾向は変わりましたか?

 本の選定は「一冊は講談社の本にしてね」とだけお願いして、あとは隊長に委ねていますが、読み手も読み慣れていて愛着があるものを選ぶことが多く、ここ10年くらい大きな変動はないですね。選び方の軸としては、「子どもが見てわかりやすく、何か考えることを促してくれる本」です。

最近は、おはなし会の導入に「参加型」の絵本を使うことが増えました。たとえば「ぱんに かくれんぼしてるの だーれ?」という問いかけから始まるよねづゆうすけさんの『たべものだーれ?』。食べ物の絵の中に動物が隠れていて、とうもろこしの中にわにが隠れていたりするのですが、それをみんなに質問します。

「おはなし会」の様子

保育園や幼稚園、小学校はともかく、図書館や書店ではお隣にいるのが知らない子ども同士ですから、みんなで声を出していっしょに楽しめる本を重宝しているんです。隊長も、子どもたちの反応に「すごいね」「そうも見えるね」と言って場をあたためる。

それから、『もったいないばあさん』を読む回数を意識的に増やしています。近年では食品ロスの問題があり、現場で子どもたちの食べ残しに苦労している幼保・学校の先生の意識も高くなっていること、またリサイクルやエコといった環境問題についても考えてもらえることが理由です。

 

キャラバンカーには現在約60社の絵本を載せていますが、今後は講談社以外の版元の本の割合をさらに増やし、業界全体に貢献できればと考えています。他社さんの絵本では最近勢いを感じるアリス館さん、ブロンズ新社さん、絵本館さんなどの本はよく読むようになりましたね。『どうぶつしんちょうそくてい』『だるまさんが』『パンダ銭湯』……このあたりは大人も子どもも喜んでくれます。

――受け手側の子どもの本に対する関心の変化は感じますか。

 絵本に限らず、親に選ばれる本、子どもが自分で選ぶ本、それぞれが変わってきたと感じています。たとえば、お母さんが赤ちゃんに読んであげる『いないいないばあ』的なファーストブックは古くからありますが、最近ではいわゆる「しかけ絵本」が主流になっている。

小学生の子どもたちが自分で選ぶものでは、ソフトカバーの児童文庫が大きなジャンルとして定着してきた一方で、ハードカバーの単行本は値段がどんどん高くなって「学校図書館で借りて読むもの」になっていて、『ハリー・ポッター』の完結以降はなかなか大きなヒットは出ていません。