約550冊の本を積んだ「おはなし隊」のキャラバンカー

100万人の子どもが「読む楽しさ」に目覚めた…講談社おはなし隊の20年

たくさんの本に触れる「非日常」

講談社が創立90周年事業として1999年にスタートした「全国訪問おはなし隊」。約550冊の本を積んだトラックを走らせ、全国各地に出向いて子どもたちにおはなし会(読み聞かせ)をする試みだ。

この活動がスタートした90年代後半は「子どもの本離れ」がピークに達し、児童書市場は危機的状況にあった時期である。ところがその後、V字回復を成し遂げ、今では児童書は少子化にもかかわらず堅調だ。

20年に及ぶおはなし隊の活動から見た、子どもの本をめぐる環境の変化とは? いまだ残る課題とは? 児童書の販売担当を経て、講談社広報室読書推進グループ担当部長を務める藤安里氏に訊いた。

 

年間1000回の「読み聞かせ」

――おはなし隊はどんな場所で、どういう頻度で実施しているのですか?

講談社広報室読書推進グループ担当部長・藤安里 平日は学校や幼稚園・保育園、こども園などのクローズドなところ、土日は図書館や書店などオープンなところに、私たちが「隊長」と呼んでいる読み聞かせのプロフェッショナルと、本を積んだキャラバンカーを派遣しています。そして午前と午後に1回ずつ、合計で1日2回「おはなし会」と「キャラバンカー見学」(子どもたちが車に積んである本を自由に読む時間)を30分ずつ。これを繰り返しています。

――何歳くらいの参加者が多いですか。

 2~8歳を基準にしています。1歳までは「本」ではなくページ単位の「絵」としての認識しかできませんので、2歳以上が対象です。訪問件数で言いますと、3~5歳の就園されているお子さん達がもっとも多く、小学校では1、2年生が多いです。ただ全校生徒が30〜40人規模の小学校ですと、学年を分けて全校生徒にお話しすることもあります。

全国を回るキャラバンカー(写真は1号車)の累計走行距離は110万kmに達する

――参加者数は累計でどのくらいなのでしょうか。

 基本は1日2回ですから、トータルすると月80~100回、年間で1000~1200回。平均すると年間9~10万人、そのうち子どもの参加者が7割くらいになります。

おはなし隊を招いてくれる会場はリピーターが多いですが、訪問の頻度は2、3年に一度ですから、子どもたちは常にほぼ入れ替わっています。ですから、合計すると20年ですでに190~200万人ほどにご参加いただいたことになります。