「将来なくなってもいいんだな」の時代

元来子ども好きな夫は、もともと育児に興味はあった。だから私の復職と入れ違いで夫が育休を取得することはすんなり決まった。だが当時社内を見回しても、男性社員で育休を取った人、しかも3カ月という“長期間”のケースは知らなかった

ある部署で男性記者が「育休を取りたい」と願い出たところ、「将来なくなってもいいんだな」と上司から脅されたなどという話がまことしやかに流れていた時代。それでも夫が取得できたのは、当時の上司が数週間育休を取得していたことが大きかったと思う。そして、夫が育休を取得した後、仲の良かった後輩記者は1年間育休を取った。

進次郎氏のようなアイコン的な人物が「取る」こと意味は、ここにある。霞が関で働く男性官僚にも、育休を取りたい人はいるだろう。これまで取りにくい雰囲気があったとしても、省庁のトップである大臣が取れば、「取りたい」と申し出やすくなる。そして霞が関全体で男性が育休を取る風土が広まれば、それは他の企業や自治体職員にも広がる可能性があるのだ。

前例があれば、育休は取りやすい。それがいわんやその組織のトップならば、なおさらだ Photo by Getty Images

「なんちゃって」でも
やらないとわからない

夫が3カ月の育休を取って何が変わったか。何が良かったか。
実は私が復職する4月1日から娘は保育園に入園した。なので、夫は育休取得した〜と言っても昼間は保育園に預ける「なんちゃって育休」だった。
 
とはいえ、保育園はいきなり夜まで預けられる訳ではない。最初は「慣らし保育」と言って、2時間、そしてお昼まで、と少しずつ時間を伸ばしていく。フルタイムで復職したいと思っていたから、この慣らし期間も含め、子どもが保育園に慣れるまでを、全面的に夫が担当してくれたからこそ、私は初日から全力で仕事に集中できた
 
実は今回の原稿を書くに当たって夫にも育休を取ってどうだったかと取材しようとしたが、「いや、オレはなんちゃって育休だから」と断わられてしまった。「保育園に預けながらなんて、育休を取ったとは言えない」と反発されることを恐れているのかもしれない。

 
でも私は「なんちゃって上等」だと思う。おっぱいという武器がある母親ですら、1日2人きりでいることは本当につらい。ましてや、家事能力だって妻より低い夫の方が多いだろう。それまでやっていなかった人がいきなり家事も育児もフルで全部を1人で担う、なんてハードルが高すぎる。
 
昼間時間のあった夫は、その時間で離乳食を作るようになった。当初は野菜を切る、ぐらいしかできなかった夫が育休期間中には、鯛のアラで出汁を取って離乳食が作れるぐらいにまで、料理の腕前が上達した。今でも、我が家は夫当番の日は夫が夕食を作り、私が早朝のテレビ番組出演の日は、夫が娘の弁当を作る。