12年前の夫の育休

実は私の夫は、娘が生まれた翌年、今から12年前に育休を取った。ちょうど娘が10カ月になる頃、私が4月1日から職場復帰をするタイミング合わせて3カ月間取得した。

当時、「AERA」という週刊誌の副編集長だった私は、朝日新聞社では「初の管理職としての育休取得者」だった。組合からも、復職後に副編集長に戻れると上司に確約してもらっているか、などヒアリングも受けた。会社と組合との間で、育休後の「現職復帰」が取り決められていたからだ。

私自身は、というと副編集長というポジションへのこだわりというよりも、とにかく少しでも早く仕事に復帰したかった。週刊誌というニュース編集者の仕事が面白くて仕方なかったということもあるが、とにかく10カ月間という育休期間、仕事ができないことと1人での育児が私にとってはつらすぎた。キャリアを断絶しないためにも早く復帰したかった。

出産直後の1カ月間は実家の母親が手伝いに来てくれていたのだが、その母親が実家に帰っていく日の心細さを、13年も経った今でも覚えている。1カ月の赤ん坊と2人きりになることのどうしようもない不安。涙が溢れて仕方なかった。

赤ちゃんが可愛いというのと、それでもつらいという気持ちは、共存する Photo by iStock

39歳での初産。高齢出産ということもあり、体力的にきつかったこともある。1日中、2人で部屋の中にいて、夕方日が暮れる頃になると、「やっと今日も1日終わった」と安堵した。産後3カ月を過ぎると一気にラクになるよ、と聞き、3カ月過ぎるのを指折り数えていた。

なぜ母親ばかりが
こんなに追い詰められるのか

同じ朝日新聞社で記者をしていた夫には、「少しでも早く帰ってきて欲しい」と毎日のように頼んでいたが、帰宅は早くて夜8時すぎ。これでも新聞記者としては十分早い。頭ではわかっていたが、やっとのことで寝付かせたあとだったりすると、「今更帰ってきても遅い!!」とブチ切れた。授乳で夜に断続的にしか眠れない私に代わって、スリングに赤ん坊を入れて、朝6時から2時間、近くの公園を散歩して、少しでも私を寝かせようとしてくれるなど、夫なりに努力はしてくれていたとは思う。

それでも私の中にはいつも不満が募っていた。なぜ、母親だけがこんなに追い詰められなければならないんだろう。どんなに赤ん坊と2人きりの生活が大変だと訴えてきても、伝わらないもどかしさを感じていた。次第に近所に同じ時期に出産したママ友ができ、彼女たちと数人で赤ん坊を世話するラクさを覚えると、「夫なんていなくていい。頼りになるのはママ友」とさえ思っていた。

今思えば、軽い育児ノイローゼになっていたのかもしれない。育児専従の生活から離れたい、とにかく復職したらフルタイムで出産前と同じように仕事をしたい、と願っていた。