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新型コロナ対策で明らかに…中国の恐るべき「戦争遂行能力」

世界が注目する「地政学」的な理由

新型コロナウイルスの感染拡大に関してWHO(世界保健機関)が緊急事態宣言を出すなど、中国にとってはまさに正念場となっている。WHOのテドロス事務局長は中国の取り組みに対して「これほど積極的に対策を講じた国は見たことがない」と手放しで賞賛しており、緊急事態宣言は中国に対する不信任投票ではないと述べている。

国内では中国への配慮をにじませるWHOに対する批判の声が高まっているが、中国の対応が立派なのかはともかくとして、国際社会が中国の動きに高い関心を寄せているのは事実である。その理由は、パンデミック(感染爆発)に代表される緊急事態への対処能力というのは、その国の戦争遂行能力と完全に一致しているからである。

中国は今回の危機への対処を通じて、米国と同じく「絶対に戦争してはいけない相手」と諸外国から見なされることを強く望んでいるはずであり、政治的なものも含めて、あらゆる手段を投入してくる可能性がある。日本側は一連の動きについて注視する必要があるだろう。

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最初にタイに感染が拡大した理由

感染症の拡大というのは、人やモノの移動と密接に関係している。感染拡大を封じ込めるためには、大量の人員や物資の投入が必要となるため、その国全体のロジスティクス(兵站)能力も強く問われることになる。つまり今回発生した事態というのは、極めて地政学的な要素が強い。

地政学とは、地理的な位置関係が、国際関係や各国のパワーバランスにどのように影響するのかを探る学問分野である。地政学のベースには地理学の概念が存在しており、地理的条件が国家間の潜在的な力関係を決定すると解釈される。

地政学が編み出された当時は、河川の位置関係といった純粋に地理的な要素が重視されていたが、近年はテクノロジーの発達によって輸送網が多様化しているほか、経済水準と戦争遂行能力の連動性が飛躍的に高まってきた。このため、現代地政学においては地理的要因よりも経済的要因の方が圧倒的に重視されるようになっている。