人気漫画『きのう何食べた?』が女性たちの心をつかむ「納得の理由」

「平成の豊かさ」とは何だったのか
阿古 真理 プロフィール

同作が女性たちの心をつかむのは、この生活感のあるリアルな展開ではないだろうか。

冷蔵庫が突然壊れたり、すっかり揚げものを作らなくなった食卓、残業続きの後で食べる家のご飯のありがたさ。きちんと食卓を整えてきた人なら、思い当たるフシがあるだろうエピソードばかりが登場する。まるで、自分の家の鏡のような、あるいは友人や親の家の「あるある」の連続だ。

 

日常を描いた作品が多くの共感を集めるのは、ライフスタイルが多様化し、ふつうがどこにあるか見えづらくなったことと、大きな災害や失業などで日常を奪われるリスクをリアルに感じる人が多くなった時代だからである。

マンガに登場する人たちも、DVや高齢化などさまざまな問題を抱え、つらい思いも抱えている。多様な人が登場するリアリティがある作品だからこそ、今日もご飯を作って食べられるありがたさが身に染みるのだ。