メーガン妃とヘンリー王子「王室離脱」は「大事件」になるのだろうか

「セレブリティ資本主義」がもたらすもの
池田 純一 プロフィール

この時代らしいやり方

こうした歴史的意義に加えて、もう一つ興味深いのは、メーグジットの宣言が、インスタグラムで、いきなり(王室やイギリス政府を飛び越えて)世界中の人びとに直接、伝えられたことだった。

法を犯したら違法行為で犯罪だが、伝統や因習から逸脱することの是非は、単純に社会認識の問題だ。そして、そうした人びとの内面の「認識地図」を覆すための格好の武器がソーシャルメディアである。

そのソーシャルメディア(=インスタグラム)を使って、彼らもまた、まず、宣言ありきで始めてしまったのだ。まずはとりあえず言ってしまって、その後から現実を引き寄せる、という、いかにも現代的なやり方。ソーシャルメディアが地球規模で、つまり国境を超えて、世界を結んでしまった時代らしいやり方だ。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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実のところ、メディアやコミュニケーションは、ハリー&メーガンが独立していく上では、不可欠なツールだろう。それは、単にメーガン妃が、もともとアメリカのテレビドラマ女優であったということからだけではない。

すでによく知られているように、二人は確かにディズニー会長のロバート・アイガーに会っている。映画『ライオン・キング』に声の出演をさせてほしい、とハリー王子がアイガーに頼む姿を撮った映像はソーシャルメディア上で拡散した。アイガーの他にも、監督のジョン・ファブローや、『ライオン・キング』に声で出演しテーマソングも歌ったビヨンセ、ならびに彼女の夫であるジェイZの姿もそこには映っている。

その一コマを地球上の多くの人がバズりながら目にしているというのが、そもそも一つの現象=社会的事実である。その「アテンション」が、新たなエステイトなのだ。

 

ハリー&メーガンの二人には、このディズニーの他に、たとえば、すでにNetflixからの出演依頼も打診されているのだという。つまり、ソーシャルメディアやストリーミングサービスといったものから構成されるオンラインの世界を、改めて、新たな「未開の北米大陸」とみなすこともできるのではないか。ストリーミングメディアが新たに七つの海=世界を征しようとしている時に、ロイヤルファミリーの血統というブランドを持参金にして、荒海に乗り出していくという構図だ。

なにしろ、有名性が直接「エステイト(=不動産)」に匹敵する価値をもつ時代なのだ。いまや、金融とエンタメ(音楽&映画)が情報の力で地続きになり、ひとつとなった時代である。両者のいいとこ取りをするものが、完全勝者になる。