メーガン妃とヘンリー王子「王室離脱」は「大事件」になるのだろうか

「セレブリティ資本主義」がもたらすもの
池田 純一 プロフィール

王室と距離を置く必要性

もともと、「メーグジット」の宣言は、ハリー王子からすれば、メーガン妃の夫としての立ち場と、ロイヤルファミリーの一員としての立ち場との間でなされた、苦渋の選択だった。自らイギリス陸軍に従軍した経験もあるハリー王子は、「殿下」らしく、引き続き女王陛下の下で、祖母でもある彼女の治世を支えたいと考えていた。その一方で、しかし、妻であるメーガン妃の心労が、これ以上増えることは断じて阻止しなくてはならないとも強く感じていた。それは、かつて執拗なパパラッチの取材攻勢に疲れ、最後は1997年にパリで事故で亡くなったダイアナ妃を母にもつハリー王子からすれば当然の配慮だった。

実際、昨年10月にイギリスの放送局ITVが製作した“Harry & Meghan: An African Journey(「ハリーとメーガン:アフリカの旅」)”の中で、メーガン妃は、イギリスのタブロイド紙によるパパラッチ攻勢に疲弊し、心底辟易としていることをはっきりと語っていた。ハリー王子としても、妻子の精神的な健康を確保するために、王室と一定の距離を置く必要があるように感じていたことだろう。

 

だが、今回、1月18日に公表された王室との合意では、王室や、ハリー王子自身がかつて従軍したイギリス陸軍との関係は、基本的には断たれてしまった。その事実に、王子は率直に悲しみを公に表した。ハリー王子としては、公的な資金は受け取らない上で、エリザベス女王やコモンウェルス(英連邦)ならびにイギリス軍のために働きたいと思っていたのだが、その希望は叶わなかった。「半・王室、半・民間」のような立ち場は、都合のよすぎるものとして、認めてはもらえなかった。

ダイアナ妃の悲劇を経験した息子の一人として、同じ悲劇は繰り返したくはない。だから、母のようにメーガン妃が王室に囲われ続けた結果、精神的に壊れる前に、バッキンガム宮殿の威光の及ぶ世界の外に出る。その計画を、フライングと言われようとも、ソーシャルメディアが生み出す大衆の支持によって、現実のものへと転じさせる。そのつもりであったのだが、祖母のエリザベス女王のほうが、やはり何枚も上手であった。

〔PHOTO〕gettyimages

反撃が始まる?

このように、この話は、電撃的な短さでひとまず決着がついてしまったようなのだが、しかし、当然、この先、ハリー&ミーガンからすれば、反撃となる第2ラウンドが始まるものと予想される。

といっても、ことさらに彼ら二人と王室との間の確執が深まるのを期待しているわけではない。そもそも、二人の計画自体、最初に聞いたときは、でも、きっと王室ブランドを使ってビジネスを立ち上げるんだよね? それは、ちょっと調子のいい話ではない?と感じていたのもの確かなのだ。

このあたりの感覚は、たとえばドラマ『ダウントン・アビー』を見た人なら、直感的に理解できると思う。なにより貴族社会では、一抜けしようとする態度自体が、冷ややかな目で見られてしまう。