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一時「V字回復」していたパナソニック、ここへきて再度「低迷」の裏側

津賀体制8年目の真実

V字回復を成し遂げたあと、再び業績不振に陥った津賀パナソニック。社長の経営責任を問うのは簡単だが、超巨大企業ゆえの困難をいくつも抱えているうえ、誰にもその解決策が見えていない。

勝ち方がわからない

「低収益体質からの脱却という課題に向き合わなければならない」

1月6日、パナソニックの社長を務める津賀一宏氏が発表した年頭所感には、楽観的な言葉はひとつもなかった。それもそのはずだ。

27万人の従業員を抱える老舗企業の'20年3月期の業績見通しは、売上高が7.7兆円と前年同期比で3000億円のダウン、営業利益が約3000億円で同1100億円のダウンと低迷。

津賀社長は社員に「ビジネスモデルを再定義して、自らの勝ち方をしっかりと定めることが不可欠」と檄を飛ばすが、その当の本人も、いったいこの会社をどこに導けばいいのか、その解をもっているわけではない。

Photo by GettyImages 津賀一宏

「テレビやエアコンをはじめ、パナソニックの栄光を支えた家電事業の不調が続いているうえ、家電に代わりうると期待された自動車事業も、'19年3月期は121億円の営業赤字となっています。

昨年11月には津賀社長が、赤字事業となっていた液晶パネルと半導体の両事業から撤退すると発表するなど、ネガティブな話ばかりが目立ちます」(経済評論家・加谷珪一氏)

日本を代表する名門企業の凋落。今年で就任8年目となる津賀社長は、最大の苦境を迎えている。

大阪大学基礎工学部を卒業後、松下電器に入社した津賀氏は、マルチメディア開発センター所長、自動車関連業務を担うオートモーティブシステムズ社の社長などを歴任し、'12年6月に本社社長に就任する。

 

部下として働いたことがある元パナソニックの平川紀義氏は、津賀氏のことを「業績が悪いときには部下を叱るのでなく、『まず、包み隠さず本当の数字を教えてほしい。現状を把握した上で、最善の手を打とう』と鼓舞するなど、冷静でありながら人情の深い人」と振り返る。

'11年度に約7500億円の大赤字に陥ったパナソニックを、不採算部門からの撤退と成長分野の絞り込みによって6年後には約2400億円の過去最高純益に導くなど、手腕を発揮した。

「経営不振の元凶であったプラズマパネルの生産を打ち切り赤字の拡大を防いだこと、また車載事業などこれから伸びる見込みのある分野に積極的に投資したことがV字回復の要因です。デジタル技術に明るい津賀さんでなければこうした改革はできなかった」(平川氏)

しかし、快進撃はそこまで。'18年以降は再び業績が低迷してしまう。