新型コロナウイルスでみられる症状として、1月29日付けに医学誌 『Lancet』に発表された内容では※2、感染者99例中、発熱82例(83%)、咳81例(82%)、息切れ31例(31%)などが比較的多く、少なかった症状は、頭痛8例(8%)、咽頭痛5例(5%)、鼻水4例(4%)、下痢4例(2%)があげられる。風邪でよく見られる喉の痛みは、あまり頻度は高くない

また、下痢など胃腸の症状が少ないことも特徴と言えるかもしれない。同じコロナウイルスであるSARSやMERSでは、下痢の報告が20〜25%にみられたが、今回の新型コロナウイルスでは非常に少ない。

通常、風邪やインフルエンザであれば、他の感染を合併しないかぎり、3、4日以内に症状は快方に向かう。しかし、新型コロナウイルス感染症では、1週間程度発熱と咳が続くのが特徴的で、1週間経過した後に呼吸困難が増悪したり、重症化することがある。ただ、インフルエンザでも、肺炎を合併したりすると症状が長引き、重篤化することがある。1週間以上咳や発熱が続いていたとしても、少なくとも現時点では、国内感染の頻度から考えても、風邪やインフルエンザに肺炎などを合併したと考える方が、新型コロナウイルス感染よりも確率が高いといえるだろう。

【2月9日加筆】
2月7日付でアメリカの医学誌『JAMA』に、入院した138人を対象とした新型コロナウイルス肺炎の新たな論文が掲載された。発熱、咳、倦怠感が頻度の高い症状であるのは従来の通りだが、嘔気や下痢も各10%程度報告されており、消化器症状の存在が示唆されているが、他の原因による症状と見分けが難しいとされている。
また、この論文で対象としている人の約4割が医療従事者を含む院内感染である。日本でも、患者が搬送された施設では院内感染対策を十分に行い、今後の経過を注視していく必要があるだろう。

3. 心配すべきは子どもより大人

お子さんがいる人は、真っ先に子どもへの感染を心配するかもしれない。たしかに、小児の発症例も報告されている。しかしその頻度は少なく、報告例の殆どが20歳以上だ。40歳以上では、感染者は比較的どの年齢層にも分布しているが、全症例の半数が高血圧や糖尿病、心疾患など基礎疾患をもっており※2、死亡者の殆どは高齢者や基礎疾患を持った人々だ。

つまり、仮にあなたが30代ないし40代であるならば、心配すべきは子どもよりもむしろ、自分自身や高齢者である両親のほうかもしれない。

ただ、子どもたちの間では、インフルエンザやアデノウイルス、ロタウイルスなどが流行しているため、手洗いなどの感染予防につとめることは必要だ。新型コロナウイルス感染は不顕性感染や軽症例も多く、風邪と見分けがつかないこともある。軽くても風邪のような症状がある人は、コロナウイルス肺炎に限ったことではないかもしれないが、高齢者や合併症のある人が集まりやすい場所には行かないようにする、例えば病院や高齢者施設の見舞いに行ったりするのは避けた方がいいだろう。

Photo by iStock