コロナに負けるな、湖北省! 謎の新種化石も出てくるスゴさを知ろう

タマゴも骨格も発掘の激レア地域です
安田 峰俊 プロフィール

牛正華は骨を見て、もしかしたらテレビで見た恐竜の骨かもしれないと当たりをつけた。鄖県内や、隣接する河南省南陽市西峡県といった付近の地域では、これまでにも恐竜のタマゴが見つかっている。骨が見つからないともいえまい。

「ひょっとすると重要なものかもしれん。現場を保護して、党の上級部門に報告しよう。ここの工事はいったんストップだ。残りの場所の作業を進めてくれ」

だがその後、数日間で別の工事現場からも50点あまりの骨が出てきたので、残りの工事も中止になってしまった。

武漢市内で研究は進む

同年7月末には、中国地質大学教授の周修高らの専門家が工事現場にやってきて、この工事現場の周辺12平方キロメートルにわたって白亜紀の地層が広がっているとおおまかな推定をおこなった。

さらに8月には中国科学院古脊椎動物・古人類研究所教授で、著名な恐竜学者である趙喜進(Zhao Xijin)らも到着。趙喜進は見つかった骨を観察して、出土した恐竜はどうやら3体以上のものだと推定した。また、そのなかの鳥脚類の化石は約8000万~9000万年前の白亜紀後期のものだとされた。

趙喜進(左) Photo by Getty Images

その後、見つかった化石が武漢市内にある湖北地質博物館に運ばれてクリーニングをうけたところ、骨の合計点数は399個にのぼり、8体以上の恐竜が含まれていると判明する。

見つかった恐竜の種類は、『化石網』2017年4月12日付記事では獣脚類のモノロフォサウルスと鳥脚類のバクトロサウルス、『化石網』2019年6月3日付記事では、さらに竜脚類も含まれていたようだ。

モノロフォサウルスの復元図 Photo by Getty Images
バクトロサウルスの復元骨格 Photo by Wikipedia

その後、2011年4月に内モンゴル古生物研究所の所長・譚慶偉が率いる調査チームが梅鋪鎮李家溝村で発掘調査をおこなったときにも、ハドロサウルスの仲間の化石が見つかっている。

ハドロサウルスハドロサウルスの復元図。ユンシアンサウルスも似たような外見だったのだろうか Photo by Getty Images

謎の「新型恐竜」の正体は?

この1997年7月に梅鋪鎮李家溝村で見つかったとおぼしき竜脚類には、新しい名前が付けられている。その名はユンシアンサウルス・フベイ(Yunxiansaurus hubei)

漢字で書くと、属名のYunxiansaurusは「鄖県龍」。発見地の鄖県にちなんで付けられたことがわかる。種小名のhubeiはすなわち「湖北」だ。