モノロフォサウルスの復元図 Photo by Getty Images

コロナに負けるな、湖北省! 謎の新種化石も出てくるスゴさを知ろう

タマゴも骨格も発掘の激レア地域です
大宅賞作家の大好評連載「恐竜大陸をゆく」、本年2回目です。今回は中国湖北省にフォーカス。新型コロナウイルスの発生地として連日ニュースに取り上げられている武漢市を含む省です。じつはこの湖北省、恐竜の骨格とタマゴの双方が見つかる稀有な地域なのです!

2020年1月なかば以来、中国湖北省武漢市を発生源とする新型コロナウイルスの流行は日に日に深刻さを増している。日本時間2月1日11時09分現在、中国全土の確定診断数は1万1823人(死亡者259人)。日本でも複数の感染者の発生が報じられ、事態は予断を許さない。

武漢市にて搬送される感染者 Photo by Feature China / Barcroft Media

新型コロナウイルスが発生した湖北省は、かつて荊州と呼ばれた地域の北部にあたり、ちょうど中国本土(明代までに漢民族が主に居住していた地域)の中央に位置する。三国志の時代に群雄が領有を争ったのも、東西南北への交通路が交差する重要な拠点だったからである……。が、さておき恐竜の話に入ろう。

湖北省において中生代の古生物化石の出土例が特に多く報告されているのは、省内北西部に位置する十堰市の付近だ。中部には道教の名山である武当山を擁し、北部には中国の黄河流域圏と長江流域圏を分ける秦嶺山脈が伸びる山深い地域である。

黄色で塗られた地域が十堰市 Photo by Wikipedia

中国の化石ニュースサイト『化石網』などの記述にもとづき、湖北省最初の恐竜骨格化石の発見当時の様子をご紹介していくことにしよう。

岩を爆破していたら龍の骨が!

話は1997年7月にさかのぼる。湖北省鄖県(現在の十堰市鄖陽区)梅鋪鎮李家溝村では農産物市場の建設がおこなわれていた。工事開始から半月ほど経ち、土の表面が1メートルほど掘り返されると、広範囲に岩盤が広がっていることがわかった。人力ではとても掘り進められず、やがて作業は爆薬で岩盤をふっ飛ばしておこなわれるようになった。

7月20日午後5時ごろ、近所の農民たちが爆破後の岩の運び出し作業に従事していた。すると、楊守義という夫婦が動物の大腿骨のような形状の不思議な石を発見する。この石は長さ45センチ、直径15センチほどであった。

現場では牛や人間の大腿骨に似ていると話す人もいたが、大多数の意見は「龍骨(lóng gŭ)」に違いないというものであった。漢民族の伝統的な概念から、龍の骨だと考えられたのである(龍骨については過去記事も参照されたい)

現地で指揮をとっていた梅鋪鎮の副鎮長・趙文龍は、なんだかよくわからないままに、この「龍骨」を近所の商店の屋内に保管しておくことにした。

地元共産党員、上級部門に報告す

さらに工事が進むこと数日。現場からは腿らしい骨や椎骨・肋骨ほかさまざまな骨片が50点あまりも掘り出された。22日、地元の共産党員の牛正華が岩盤の爆破用の火薬を持って現場にやってきたので、発見者の楊守義は叫んだ。

「書記どの! こりゃあいったい、何だって思います?」