「愛の国」でも育児世代はセックスレス

カップルの関係を維持することにセックスは欠かせないと考える人が多いフランスだが、今回話を聞いた8人のなかには現在セックスレスだと主張する男女がいた。

先述した「育児と仕事と家事で疲弊しきっている」46歳の男性(パックス歴6年、子ども3人)と、「転職したから前職の給料に追いつくまで仕事で忙しくて、セックスなどする余裕がない」という44歳の女性(結婚歴7年、子ども3人)の2人だ。彼ら2人とも、幼稚園生から小学生までの子どもがそれぞれ3人おり、子どもの送り迎え、家事、仕事で毎日息をつく暇もないという。

2家族ともベビーシッターを雇っているが、それでも「最後に夫婦二人でデートしたのは半年以上も前」(44歳の女性)、「最後にセックスしたのは4ヶ月も前」(46歳の男性)だという。やはり、育児に手間がかかる世代はフランスでもセックスレスになりがちなのかもしれない。

他人の不倫に寛容なフランス

昨今の不倫報道に対する日本の世論は過剰ともいえる反応を見せているが、フランスではどうなのか。

マクロン大統領と彼の25歳年上のブリジット夫人の不倫奪略愛は有名だが、知らない人のためにおさらいしておこう。マクロン大統領がブリジット夫人と知り合ったのは彼が15歳のとき。彼は自分の教師であったブリジット夫人に17歳のときに告白して2人は恋愛関係になった。当時42歳のブリジット夫人は結婚しており、3人の子どもまでいたという。さすがにこの恋は実らず、後年、29歳の銀行員となったマクロンが離婚していた53歳のブリジット夫人と結婚して、今に至る。興味深いことに、ブリジット夫人はフランス人女性に大人気だそうだ。

マクロン大統領(右)とブリジット夫人〔PHOTO〕Getty Images

話を聞いた8人中4人には不倫経験がなかったが、彼らに「もし友達が不倫をしていたらどう思う?」と聞いてみたところ、4人全員が「自分は不倫するのもされるのも嫌だけど、他人の不倫は何とも思わない」と答えた。フランスの徹底した個人主義がここに垣間見える。著名人の不倫はフランスでもメディアで報じられゴシップ扱いされるが、他人の不倫を不道徳だとパーソナルに捉える人は少ないように思う。

今回話を聞いてみて感じたのは、フランス人は愛に対してかなりのリアリストである、ということ。カップルの関係は変わりゆくもの、という考えがベースにあるからこそパートナーシップの形式も多様だし、愛を過剰に神聖視せず、セックスの必要性を理解しているからこそ、不倫に対しても寛容になれるのかもしれない。

【参考】
※1…『結婚をやめたパリジェンヌたち』(酒巻洋子著・株式会社産業編集センター)

※2…Let’s talk about sex: New book sheds light on French sexual mores – FRANCE 24
※3…世界の離婚率 国別ランキング・推移 – GLOBAL NOTEs