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「セロハンテープ」一筋で100年企業に成長したニチバンの凄い経営

高津敏明社長が語った
夏目 幸明 プロフィール

職業病は、テープを触ると、つい匂いをかいでしまうことです。匂いで「アクリル系エマルジョンだな」などと、粘着剤の種類がわかります。

粘着剤によって用途は変わります。例えばセロテープはどんな素材にも付きますが、ガラスに貼ることはお勧めできません。ゴム系の粘着剤は日光にあたる場所に貼るとベタつくようになります。

 

台風の時、紙のクラフトテープで窓を補強するのもお勧めしません。クラフトテープはあくまで梱包用で、補強用途は想定していないからです。体に貼るテーピングは、実は日常生活でも役立ちます。出張やゴルフなどでよく歩く日、足の土踏まずを持ち上げるようにテープを貼ると疲れにくくなりますよ。

食品ロスも防げる

当社が創業100年を迎えられたのは、変化を大切にしているだけでなく、貼る技術で新しい価値をつくってきたからかもしれません。

一例を挙げると「ワザアリテープ」は冷凍庫でも使える製品で、保存容器やフリーザーバッグに食品を入れたとき、テープに中身を書いて貼っておけば食材ロスを防げます。

メディカル分野では、通気性がよく伸縮性も高い救急絆創膏「ケアリーヴ」シリーズがよく売れています。最近は傷あとケアテープ「アトファイン」も人気です。傷あとは、皮膚が引っ張られたり、衣服との摩擦などの刺激でケロイド化することがあるため、専用テープを貼って保護するのです。帝王切開をした女性から多くの反響をいただいています。

くっつけて、剥がす。そこには大きな価値があります。だから当社は今後も、くっつけることで世界の困りごとを一つひとつ解決していこうと思っています。(取材・文/夏目幸明)

高津 敏明(たかつ・としあき)
1966年、兵庫県生まれ。'1990年に関西大学工学部を卒業し、ニチバンへ入社。埼玉工場品質管理部生産技術課長、事業統括本部購買部長、執行役員メディカル特販営業部長等を経て、'19年に代表取締役社長に就任、以来現職。「ぴったり技術で明日をつくる」を掲げ、売り上げ約500億円の同社を率いる

『週刊現代』2020年2月1・8日号より