根源的な安心感を持っているか 

障がい者などのマイノリティーが直面する深刻な生きづらさを改善すると同時に、すべての人が充実した人生を送れるようにする。どうすればその理想に近づけるか。

森岡「ぼんやりした言い方になりますけど、先ほどの話の表の層は社会正義みたいなものです。つらい人には手を差し伸べよう、という。下の層は、人生をどう生きるかという話です。これをつなぐものがきっと何かある。『根源的な安心感』というのがキーワードになると思っています。根源的な安心感とは、たとえわたしがどんな人間であれ、ここにいて構わないし、誰からもそのことによって責められない、という風にすべての人が心底思えるということ

もしそういう風に人びとが心から思えるのであれば、ある意味、お金とか物資とか、いろんなことには格差があったって構わないとまで思いますね。根源的な安心感を基 礎に置くような考え方で社会を運営する。そのときに社会正義の追求と生きる 意味の追求がつながるのかなと思っています」

――たしかに、根源的な安心感が欠けた社会になっているかもしれません。

森岡「欠けていると思いますよ。先ほどの話とも関連しますが、たとえば、あなたは新聞社が潰れたらどうしますか? いま享受しているいろいろなことはなくなりますよ。そうならないために、いまがんばっている面ってあるんじゃないですか。それって、窮屈なことじゃないですか? 会社が潰れたら、ああ潰れたかくらいに思い、根源的な安心感は守られた状態でまた別の生き方をする。そういう社会の方がいい。格差社会というのは、格差で上のほうの人も苦しめるんですよ。下も苦しめるけど、上も苦しめます」

心から無邪気に走り回る。それは、根源的な安心感があってのもの。子どもに限らず、安心して暮らせているだろうか Photo by iStock