外国人に優しくない国・日本…働くのも学ぶのも、生きるのも厳しい現実

住むところも満足に見つけられない
鷲尾 香一 プロフィール

病院でも待ち受ける困難

外国人労働者が増えたことで、国民の中にも「受け入れ態勢が十分ではない」という意識は強まっている。

内閣府が2020年1月に発表した「外国人の受入れに伴う環境整備に関する世論調査」では、「外国人が日本で安心して生活できる環境」が「整っていない」との回答が38.1%、「環境を充実させる必要がある」との回答が74.3%にものぼった。

 

たとえば、敬虔なイスラム教徒であるインドネシア人男性(42)は、日本の病院での受診に苦労した。

「胃潰瘍を患い入院したのですが、まず、言葉が通じなかったことで診察するまでに長い時間がかかり、その後の治療や入院生活でも苦労が多かった」

イスラム教では豚肉とアルコールが禁じられているが、医薬品の中には豚の成分が含まれたもの、あるいはアルコールが含まれたものもある。これらが治療に使えないことや、入院時の食事で豚肉は食べられないといったことを病院側に説明するのが大変だったという。

さらに、彼の妻が受診する場合には、イスラム教では(特に女性は)異性に肌をさらすことを避けなければならないため、男性医師では検査や診察、治療などが行えず、女性医師のいる病院を探さなくてはならない苦労があるという。また、宗教上の理由から輸血を拒否する人たちもいる。

もちろん、あらゆる外国人に合わせて日本の医療機関が完璧な態勢を整えることは無理だろう。特に、非正規の外国人労働者の場合、健康保険に加入しておらず、診療費が不払いになるケースも多い。だが最低限、病院案内で多言語対応が可能か否かを提示するなどの手段で、言葉の問題が診察に支障をきたすことのないよう配慮する必要があるのではないか。

医師法19条1項の「医師の応招義務」では、「診療に従事する医師は、診療治療の要求があった場合には正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と規定されている。日本の医師法を外国人患者に対しても適用するか否かの判断を政府は示すべきだろう。