日米英を渡り歩いた企業研究者が教える英語習得「とっておきの方法」

映画のディクテーションで生の英語を!
鎌谷 朝之 プロフィール

学会で発表する経験を積む

「学会」というと大学関係者だけの集まりという印象もあるかもしれないが、企業研究者向けの学会もたくさん存在するし、大学・企業双方が参加するものだってある。

こういう学会は大学時代の同級生や先輩・後輩、はたまた同業の知り合いにばったり出くわして旧交を温める貴重な機会となることは言うまでもないが、何よりも最新の研究成果を目の当たりにでき、実際に担当した研究者と話す機会でもあるわけだから、会社員になってもぜひ機会を見つけて参加してもらいたいと思う。

もちろん参加するだけでなく発表もして欲しい。それもポスターではなく口頭発表で、そして国際学会で。

「え〜、そんなことできないよ!」と思う気持ちはよくわかる。僕だって大学の卒業研究の発表会の時、たった5分の日本語による短いプレゼンだったにもかかわらずガタガタ震えてまともにしゃべることができなかった苦い記憶がある。

でも勇気を振り絞って(というより完全に開き直って)あちこちで下手糞なプレゼンを散々やりまくった結果、今では日本語でも英語でも1時間以上しゃべり続けることが苦でなくなった。要は何度場数を踏むかが勝負なのだ。だったら大きな会場でたくさんの人たちを相手に説明する口頭発表を、そして日本人以外の人もたくさん集う国際学会において英語でやるほうがよっぽどいい勉強になる。

【写真】発表は場数を踏むこと
  国際学会での発表は、勇気を振り絞って(開き直って?)場数を踏んだことが良い勉強になった photo by gettyimages

大学・大学院の学生であるうちに英語での学会発表が何度もできれば理想だが、社会人になってからでももちろん遅くはない。会社の仕事を学会でしゃべるとなると、知財部門などいろいろな方面に許可を取らなければならないという面倒さはあるが、それだけの手間をかける価値があると太鼓判を押して言える。

僕はこれまで、会社の研究所で関わった研究の成果をあちこちの大学や学会で発表・講演しているが、その度に聴講した皆さんからとても有益なフィードバックをもらい、後々の業務に大いに役立てることができている。皆さんも将来、機会を見つけて取り組んで欲しいと願っている。

また、「国際学会」だからといって外国に行かなければならないとも限らない。日本で開かれる国際学会も多いので、そこで英語でプレゼンするだけでも充分勉強になる。

若い研究者の「表現力」が研究生を魅力的にする!

僕はこういう学会で若い世代の皆さんがしゃべっているのを見るたび、日本人の英語能力も少しずつ上がってきていると感じて嬉しく思っている。ただこういう若い人たちはたいていポスター発表の方に回されているのが残念だ。

大きな会場でしゃべっている日本人は企業のチームリーダー格か大学の教授・准教授のレベルばかりだが、こういう人たちの英語の発表は見ていて正直つらい。研究成果としては非の打ちどころがないものの、一字一句吟味された発表原稿を丸暗記し、寸分違わずスピーチすることに集中される方ばかりで、結果的に発表があまりにも味気なく映り、印象に残りにくいものとなってしまうのだ。

価値に乏しい研究成果であるにもかかわらず、それがいかに素晴らしいかを力説するアメリカ人研究者の発表のほうが、いい意味でも悪い意味でも聴衆に強烈な印象を残すのは笑えない話である。

企業の管理職の皆さんはぜひ、自分ではなく部下の若い人たちに発表の機会をもっと与えて欲しいと思う。