孤独死する男性は「女性の3〜4倍」現場を見てわかった切ない理由

亡くなった部屋に遺されていたもの
菅野 久美子 プロフィール

「緩やかな自殺」へ向かう人たち

近所の住民の話では、夫婦はこの賃貸マンションを経営する大家で、妻は町内でも人気者だったが、一方の男性は、寡黙で内向的な性格だったという。マンション自体、手入れが全く行き届いていなかった様子で、男性の妻が亡くなってから、入居者も募集しなくなった。

男性にとって妻の存在は、計り知れないほどに大きいものだったに違いない。

 

「孤独死の現場で長年仕事をしていますが、男性の孤独死は女性に比べて、3倍ほど多いんです」

と塩田氏は語る。

妻との死別後、孤独死する男性は少なくない。伴侶を失ったという精神的ショックももちろん大きいが、男性のように妻を媒介にして社会と接点を持っていた人の場合、妻という拠り所がなくなると生活が荒れたり、ゴミを出す気力すら奪われる「セルフネグレクト」(自己放任)という状態になりやすい。

セルフネグレクトに陥ると、部屋がゴミ屋敷化したり、不摂生、医療の拒否などで健康を維持することができなくなるため、別名「緩やかな自殺」とも呼ばれている。

親族との死別や離婚、退職などをきっかけにして、精神的にも肉体的にも一気に崩れ落ちてしまうのだ。このセルフネグレクトが、孤独死の原因の8割を占めるとも言われている。

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