孤独死する男性は「女性の3〜4倍」現場を見てわかった切ない理由

亡くなった部屋に遺されていたもの
菅野 久美子 プロフィール

遺品から伝わる妻への愛情

最愛の妻が他界して、寂しさが募ったのか、男性は妻の遺品を居間に集めるようになった。そして妻の写真を部屋の壁一面に貼り、それと同時にふさぎこみ、家にゴミをため込むようになる。

近所への食料品の買い出しなどには出るが、外出は最低限で、ひきこもりのような生活をするようになっていったという。

 

塩田氏は、何とか廊下を抜けて、男性が生活していた物件の部屋にたどり着いた。

一室のドアを開けると、大量の蠅が塩田氏の顔面にぶつかってくる。まず視界に飛び込んできたのは、天井までうずたかく積もったゴミの山だった。その隙間をゴキブリがガサガサと動き回り、天井ではネズミが凄まじい勢いで駆け抜けていく。壁にはカビがびっしりと生え、壁紙が所々はがれてヤニがこびりついていた。

辺りは食べ物の腐敗臭と死臭が入り交じり、プロである塩田氏でさえも、呼吸が苦しくなるほどの臭いが部屋の中に充満していた。塩田氏はすぐに状況を把握したようで、天井まで達していたゴミの山によじ登り、上から要領よく徐々にゴミを外に搬出していく。

「こんなところで、よく生活していらっしゃったな……」

塩田氏は、そうつぶやいた。ゴミの上層は20枚ほどの女性物の肌着だった。その下には、高級百貨店の箱に入った女性物のカシミヤのセーターが20箱近く埋もれていた。

「きっと故人様は最後まで奥さんの近くにいたかったんでしょうね」

さらに書店の紙袋に入った未開封の雑誌があり、一番下は水のペットボトルとトマトジュース缶の層になっていた。トマトジュースの缶は重さで潰れ、中は錆びていた。塩田氏らの手によってごみが全て撤去されると、茶色くすすけた壁がようやく露になった。壁のいたるところには穴が開いていて、ネズミの住処になっていた。