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元ホームレス作家が描く「トランスジェンダーの老後」のリアル

愛、金、老い…赤松利市にインタビュー

デビュー6作目の小説

―新著の『』は、大阪でニューハーフ店を営む63歳の桜を主人公にしたロードノベルです。

桜自身もニューハーフで、ある日、昔の男・安藤が店にやって来て、桜のなけなしの老後資金1000万円に目を付ける。その金を追いかけて桜、安藤、そして桜の店の店員で美少女ニューハーフの沙希の3人が山陽道を下り九州まで、西日本一帯を駆け巡ります。

デビューから6作目の小説です。これまでは主に「金と貧困」をテーマに書いてきました。今回は「金と老後」を書きたかったんです。

私はトランスジェンダー(性同一性障害の一つ)ではないですが、以前からトランスジェンダーの老後には興味を持っていました。桜には実在のモデルもいます。新宿二丁目でお店をやっている64歳の人。

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私は勤め人だった29歳の頃、残業も多く、年収は1000万円を超えていました。当時、遊ぶのは二丁目で、ショーパブで知り合ったのが彼女です。

桜の店の店員、ニューハーフの沙希にもモデルがいます。浅草のおかまパブの女の子で、沙希のような美少女。執筆するにあたって、開店すぐの時間に料金を支払って取材だと断り、若い世代のトランスジェンダーの考え方や業界特有の価値観、性転換手術の話などを詳しく聞きました。

 

私が書くものはどれも、実体験がベースです。特に今回は、新宿と浅草のニューハーフの話を聞いて感じた世代間格差を反映させています。

浅草のコはトランスジェンダーでも当たり前のように実家に帰省しますし、同窓会にも出席します。古い世代のトランスジェンダーは絶対にそんなことはできなかったし、今は自身の老化や老後に直面している。「こんなに時代は変化したのか」と思い、結果、このトランスジェンダーの「金と老後」の話が出来上がりました。