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「少し愛して、長ァーく愛して」大原麗子さんのあの声が忘れられなくて

「死ぬまで可愛い女でいたい」

どうして彼女の言葉や仕草にこんなにも惹きつけられてしまうのだろう。可愛らしくて、色っぽくて、どこまでも純真。他の誰にも似ていない唯一無二の女優、大原麗子こそが僕たちのマドンナだった。

 

少し愛して、長く愛して

「姉が'09年にこの世を去って、10年以上が経ちました。彼女はいま東京・世田谷区の妙壽寺に眠っています。現在でも多くのファンの方々がお墓を訪れ、献花してくださいます。本当にありがたいことです。

姉が女優を目指したのは、小学校6年生のときでした。学校の学芸会で『パンドラの匣』という劇の主役に抜擢されたんです。彼女なりに一生懸命に演技をし、劇が終わった瞬間に大きな拍手が巻き起こりました。

あの時、あの場所で彼女の人生が決まったんです。生前、何度も『学芸会での喝采が私の原点なの。あの感動はずっと忘れないわ』と語っていました」

実姉との思い出をしみじみと振り返るのは、弟の大原政光氏だ。

女優・大原麗子(享年62)。'64年、NHKドラマ『幸福試験』でデビューした彼女は『獄門島』や『火の鳥』、『居酒屋兆治』などの話題作に次々と出演。『男はつらいよ』ではマドンナ役を2回も務めた、昭和を代表する名ヒロインだ。

少女のような透明感をたたえながら、ときにドキッとするような妖艶な佇まいを見せる。変幻自在に表情を変える彼女は、唯一無二の女優だった。

そんな大原の魅力は、なによりあの「声」。どこまでも柔らかく、聴く人を包み込むような優しい声に癒やされた。その真骨頂といえば、やはり思い浮かべるのはウイスキー「サントリーレッド」のCMだろう。

「少し愛して、長ァーく愛して」。この台詞を思い出すだけで、彼女の声が鮮明に蘇ってくる。

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男の身勝手さに憤慨しながらも、それでも帰りを待つ和服の女性。あの姿を見るたび、「こんな妻がいたら……」と、ため息が出てしまう。大原麗子の魅力を凝縮したこのCMは'77年の初放送から10年にわたってシリーズ化し、彼女の代表作となった。