「フォークル」解散後、それぞれの道を歩む二人をつないだのは、特別な歌だった。優しく切ないこの「愛」の歌は、世代を超えて今日もどこかで歌われている。
佐藤 きたやまおさむさん、加藤和彦さん、はしだのりひこさんが中心となって活動したザ・フォーク・クルセダーズ(フォークル)が解散したのは'68年10月。『帰って来たヨッパライ』などの数々のヒット曲を世に出しながらも、プロデビューからわずか1年でグループとしての活動は終了しました。
そんなきたやま・加藤のコンビが再び帰って来たのが、『あの素晴しい愛をもう一度』(以下『あの素晴しい愛』)でした。
きたやま '71年4月のことでしたね。フォークル解散後、僕は大学に復学し、加藤はソロへ、はしだも自分のグループを作って活動していました。それぞれ違う道を歩んでいたけれど、僕も加藤もそれぞれの場所で依頼を受けて、曲と詞を作っていました。
新田 当時の私は東芝音楽工業に入社して3年目、まだまだ駆け出しでしたが、フォークルの解散は、すごくもったいないと思っていました。
現在、フジパシフィックミュージックの会長である朝妻一郎さんがプロデューサーを務め、私はディレクターとして関わりました。
『あの素晴しい愛』が出来る前に、きたやまくん、加藤くんの二人にはトワ・エ・モワの『初恋の人に似ている』('70年)を作ってもらっていて、非常に新鮮なカラーをトワ・エ・モワにプラスできました。
もしかすると、あの依頼をしたことで再び結集し、『あの素晴しい愛』が生まれたのかな。でも、まさか二人が歌うことになるとは、思ってもみませんでした。
佐藤 私もびっくりしました。'70年には、日本の若者たちで演奏旅行団を作って北米を回る、「ヤング・ジャパン国際親善演奏旅行」が企画され、きたやまさん、加藤さんが参加していますね。
きたやま 僕は司会役として、加藤は結婚したばかりのミカ(福井ミカ)を連れてギタリストとしてツアーを回りました。