建築 ~ARCHITECTURE

近年のカナダの建築シーンを賑わせている建築のなかでも、“会いに行ける”公共建築を集めた。

Casey House[ケイシー・ハウス]

©Hariri Pontarini Architects

トロントにあるHIV/AIDSケア専門の病院。2017年の拡張&改修では、100年以上の歴史あるビクトリア建築の良さを活かしつつ、快適で、光に溢れ、安らげる空間を追求した。新旧の建物が美しく調和した正面玄関は素晴らしい。

Fort York Visitor Centre[フォート・ヨーク・ビジター・センター]

©Tom Arban Photography

歴史地区フォート・ヨークは1813年のヨークの戦いの舞台で、トロント発祥の地。現在は野外博物館になっているここに、2014年にできた建築。頑強な素材感と繰り返される外壁のデザインは、過去の戦いで活躍した要塞を想起させる。

Michal and Renata Hornstein Pavilion for Peace[パビリオン・フォー・ピース]

©Pawel Karwowski

カナダ最古の美術館、モントリオール美術館の敷地内に増設された「平和の棟」。一番の目玉は“公共のリビングルーム”を目指した階段。自然光がたっぷり注ぐ大きな窓に、誰でも座ってくつろげる広い空間を作り、階段を憩いの場へと昇華した。

Stade de soccer de Montréal[モントリオール・サッカースタジアム]

©Olivier Blouin

2015年にモントリオールに完成したスタジアムは、最新技術から生まれたエコロジカル建築。天井には木材の有効活用のために開発された資材を使ったり、岩がむき出しになった周辺の地形に溶け込むような屋根など、細部に見所がある。

Maison de la littérature[メゾン・ド・リタラチュア]

©Chevalier Morales Architectes

ケベックシティの旧市街にある古い石造りの教会を改修し、図書館として生まれ変わった建築。静謐な教会らしさを残しつつも、コンサートホールにビストロ、レンタルスタジオ、作家のレジデンスなどを設け、21世紀の図書館を目指した。

映画 ~CINEMA~

日本でも話題のカナダ映画2本をピックアップ。また、トロント国際映画祭(TIFF)などで高い評価を得た新しい作品を、テーマ別にご紹介。

美しき天才によるサイコサスペンスの傑作
Tom at the Farm[トム・アット・ザ・ファーム]

©Xavier Dolan, Clara Palardy

弱冠20歳でカンヌでの鮮烈なデビューを飾った監督&俳優のグザヴィエ・ドランの第4作。閉鎖的なケベックの田舎を舞台に展開する、主人公(ドラン)と亡くなった同性愛の恋人の家族との奇妙な関係。激しい愛、嘘と暴力、繊細な感情が入り混じる演出に目が離せない。

発売元:アップリンク 販売元:TCエンタテインメント DVD ¥4104(税込)

17歳の少女の一夏を描いた青春ドラマ
The Fireflies Are Gone[さよなら、退屈なレオニー]

©CORPORATION ACPAV INC. 2018

高校を卒業して、退屈な工業団地を脱出するのを待っている10代の少女を、ケベック出身の新星カレル・トレンブレイが演じた。彼女はこの作品で、2018年の東京国際映画祭ジェムストーン賞を受賞。作中で流れるカナダのインディーロックも気持ちを盛り上げてくれる。

配給:ブロードメディア・スタジオ

 テーマ①環境 
Anthropocene: The Human Epoch[アントロポセン:ヒューマンエポック]

写真家エドワード・バーティンスキーと映画監督のジェニファー・バイチウォルらがコラボした環境問題のドキュメンタリー。「地形を変形させる人間活動」をテーマに撮影された迫力の映像美。

 テーマ②移民 
What Walaa Wants[ホワット・ワラー・ウォンツ]

パレスチナ治安部隊で数少ない女性将校の一人になるという夢を追う、若い女性を撮ったドキュメンタリー。2018年のTIFFでは、長編ドキュメンタリー部門で特別審査員賞を受賞。

 テーマ③ファーストネーションズ 
Sgaaway K’uuna (Edge of the Knife)[エッジ・オブ・ナイフ]

BC州のファーストネーションズのコミュニティ、ハイダ・グワイ出身の監督による、同地で撮影された作品。消滅の危機に瀕している部族の言語、ハイダ語が使われていることで話題に。

The Grizzlies[ザ・グリズリーズ]

2018年のTIFFで上映された、トロントの女性監督作品。自殺率が高く鬱屈していたカナダのイヌイット・コミュニティで暮らす若者たちが、ラクロスによって人生を前向きに転換していく。

 テーマ④女性の権利 
Mouthpiece[マウスピース]

『私は人魚の歌を聞いた』を監督した女性ディレクター、パトリシア・ロゼマによるシネマティックな作品。フェミニストの意識や自己表現の苦悩などが映し出され、現代女性のあり方を考えさせられる。

 テーマ⑤LGBTQ+ 
Giant Little Ones[ジャイアント・リトル・ワンズ]

幼なじみの2人は、ハンサムで水泳チームのスターとして完璧な10代を送っていたが、17歳の誕生日に人生を変える出来事が起こる。多感な時期に生じるセクシャルアイデンティティの問題を描く。