活断層の専門家、直下地震を警告!「いま一番危ない活断層はココだ」

実際に見て正しく知ろう「断層の恐怖」
中川 隆夫, ブルーバックス編集部

現時点での年代見積もりからさらに詳しく調べるために、10cm刻みで各地層を持ち帰り、その中に含まれる炭素から年代測定をする。こうして調査されたものが、専門家の審議などを経て、国の運営する「地震本部」のホームページに反映されるまでに数年ほどかかる。

時間がかかるのは仕方ないことだが、宮下さんが重要視しているのは、地元の人にどうやって分かってもらうかという点だ。

「トレンチ調査をおこなうと必ず、埋め戻す前に地元の人にお披露目するのですが、私はこれを積極的にやっています。

見学会のようす

熊本の活断層のことを東京からいくら大声で言ったとしても切迫性に欠けます。やはり地元の人が知ってナンボなんです。

だから、公開日は地元マスコミにも宣伝してもらうし、チラシを作って配ります。熊本では3年も調査をしましたから、その間行きつけになった居酒屋の人や、お世話になった町内会やガソリンスタンドの人、それから地元小学校の子どもたちや消防士さんなど、数多くの人が見に来てくれました。

いくら地図の上で活断層の赤線を見ても実感はわかないけれども、目の前にズレた断層があればハッと気付いてもらえます」

見学会のようす

子どもたちは、この断層は誰々さんの家の近くを通っているから今度地震がきたら危ないだとか、実感を持って受け止めてくれたという。

だが、過去に調査した活断層では、いまだに活断層の真上に避難場所があるところもあるという。それを宮下さんは危惧する。情報がちゃんと地元の人に届いていなければ意味がない、と。

今回の調査では、6ヵ所でトレンチ見学会をおこない、全部で2400人ほどが見学に訪れたという。

「1%」を軽視してはいけない

「日奈久断層帯は、周期を考えるとそれほど切迫性は高くないと感じてはいます。しかし同時に調査に入った地震研究者の間では、熊本地震以降このあたりの地震の回数が増えていることを危惧する人がいることも事実です。せめて避難場所が断層上にあるなんてことは避けて欲しい」

先ほど触れた「地震本部」のホームページには、南海トラフのように、海溝型の地震のリスク評価は、いまから30年間で70%とか90%の確率で起こると書かれている。それに対して、活断層型は、30年間で1%などと言われる。

地震の発生可能性を評価する長期評価は、古文書の記録や地質調査から地震の周期を推定し、最後の地震から計算して次の地震が同じ場所で何年後に起こりうるのか予測する。

活動周期から次の地震発生確率を算出すると、周期の長い活断層型は低くなってしまう。ここが活断層型地震の評価の難しさでもある。

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