自衛隊の中東派遣、異例の「1佐」を3人も送り込む安倍政権の狙い

「情報収集」のためではなかったのか?
半田 滋 プロフィール

閣議決定と食い違う「安倍首相の発言」

昨年12月27日の閣議決定では、自衛隊の派遣目的を「日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集」としていたにもかかわらず、安倍晋三首相は1月11日からサウジアラビア、UAE、オマーンを訪問し、各国に自衛隊派遣の説明をした際、13日付のツイッターで「日本関係船舶の安全を確保するため自衛隊を派遣することについても、完全な理解と支持を頂きました」とつぶやいた。

派遣の目的が「安全確保に必要な情報収集」から、いつの間にか「安全確保」そのものに変わっている。「安全確保」のためには自衛隊による日本関係船舶の護衛などの具体的な対応が必要になるが、閣議決定の通りであれば、今回の派遣は「調査・研究」、つまり「見ているだけ」にとどまるはずである。

日本関係船舶に不測の事態が起きた場合、自衛隊法にもとづき海上警備行動を発令することも閣議決定に含まれるものの、発令するには防衛相が首相の承認を得る必要がある。

近くで日本関係船舶が襲撃された場合、即座にそんな手続きを行う余裕などあるだろうか。護衛艦1隻の派遣にもかかわらず、海上自衛隊が護衛隊司令を乗艦させることにしたのは、司令が現場で武器使用を決断できる立場にあると考えた結果ではないだろうか。

 

1佐3人の派遣は、安倍政権が政治決断を避けてあいまいにしている中東派遣の「真の狙い」が「日本関係船舶の安全確保」であることをほのめかし、それを海上自衛隊に忖度させ、いざという時に現場に決断させる覚悟を示したものといえるだろう。

裏を返せば、これまでの自衛隊海外派遣で繰り返されてきたのと同様、機能不全に陥った「シビリアン・コントロール」を制服組が補い、「終わりよければすべてよし」につなげるシナリオが今回も描かれたといえる。