安易な「ポンチ絵」が、真っ当な政策を妨げる可能性について

「エビデンスに基づく政策」のために

氷河期支援プログラムの問題点

国会で令和2年度予算の審議が始まった。省庁など政府の各部署が行った予算要求を調整した結果が「予算政府案」であるが、予算政府案を作成する過程にはパワーポイントで作られた「ポンチ絵」がしばしば登場する。ポンチ絵の肝は、提案する事業を行うとどんな成果が期待できるのかをわかりやすく図示することである。

あくまでの一つの例であるが、ここでは、内閣府が行う「就職氷河期世代支援プログラム」を取り上げてみよう。いわゆる就職氷河期世代で、現在、不本意にも非正規雇用で働くものや長期無業者は合計100万人と推定されているが、そのうち30万人を3年間のうちに正規雇用にすることを目標に掲げるプログラムである。

いったいどのような方策が具体的に考えられているのかと思って資料を見てみると、そこには漠然と「社会参加支援が先進的な地域の取組の横展開」という方策が掲げられている。

それでは先進的な地域の取り組みとは何か。先進事例として愛知県豊明市、岡山県総社市、山口県宇部市、徳島県三好市の例を紹介した厚生労働省の資料が添えられている。このうち宇部市のひきこもり支援の事例を紹介する資料(上記リンク先の3ページ目・下の図)にポンチ絵の肝である施策と結果の間の矢印が登場する。

 

支援策には家族に対するアプローチと本人に対するアプローチがあるのだが、本人に対するアプローチを例にとると、アウトリーチ(行政などが支援の手を伸ばすこと)を経て居場所支援(プログラム)・個別面接を行い、このことが、彼らの段階的な社会参加をもたらし社会参加を促すとされている。山口県宇部市の現場でこのような事業に地道に取り組まれている関係者の方々には敬意を表したいが、中央官庁が作成する政策資料としては問題がある。