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「山谷地区」の意外な現在…労働者の街はどう生まれ変わったのか?

不動産価値も上がっている
人口減少、供給過剰、信用収縮……転換期を迎えている不動産業界。不動産コンサルタントで、新刊『不動産2.0』を発表した長谷川高氏によれば、かつて日雇い労働者の街として知られていた東京・山谷が、外国人観光客の集まる街へと変貌をとげているという。今、山谷で何が起こっているのか? その真相に迫った。

かつての姿はどこへ?

私は会社員時代、一般向けのファミリータイプと呼ばれる分譲マンションの用地の仕入れを担当したことがあります。東京23区内の土地を購入し、分譲マンションを建て、販売するという事業でした。

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ところが、会社が用地の仕入れを躊躇するエリアが数か所ありました。「ここにマンションを建てましょう」と起案しても、稟議が通らないのです。

その一つが、南千住駅の南側一帯のエリアです。ここはかつて、「山谷地区」と呼ばれていました。いわゆる日雇い労働者の街として有名なエリアです。ここには当時、「マンション分譲不可」という暗黙のルールのようなものがありました。

私は東京都出身ですが、業界に入るまでこの地域を訪れたことはありませんでした。初めて訪れたのは、約30年前の真冬でした。

 

印象に残っているのは、ボランティア団体が炊き出しを行なっていたこと。その炊き出しに、何百人もの人々が列をなしているのを見て正直、驚いたのを覚えています。真冬だというのに、道路に横になって寝ている人もたくさん見ました。1泊2000円前後の、木賃宿と呼ばれる簡易宿泊所がそこら中にあるのも驚きました。

あれから四半世紀以上が経ち、この街は今、大きく変わろうとしています。外国人観光客が安く滞在できる街として、さまざまな国から人が押し寄せているのです。

先日、私がこの街を訪れたときは、金髪の若いカップルやアジア系の若い旅行者が、何人もキャリーバッグを引きながら歩いていました。周辺のコンビニエンスストアは、外国人観光客であふれ返っていました。

かつて、あれだけたくさん見受けられた日雇い労働者の方たちも、今では以前のように頻繁に見かけるということがありません。