病院はパンク…新型肺炎の感染急拡大、SARSと決定的に違うこと

勢いはとどまるところを知らない
ふるまい よしこ プロフィール

だが、わたしはその友人から突然呼び出されて彼の自宅のカギを渡され、自分はこれから車で雲南省に逃げるが留守中に大事な郵便物が届くはずだから届いたら教えてくれ、と頼まれた。そして彼は、「政府はなにもいわないけれど、北京の感染状況は深刻だ。キミも気をつけて」と言いながらさっさと姿を消した。

自分は逃げるくせに頼みごとだけ残していくという矛盾した行動を取った彼にわたしは半分呆れていたのだが、北京政府が事態の深刻さを正式に認めて大騒ぎになった後で振り返ると、彼がほぼ正確な情報を握っていたことを認めざるを得なかった。

中国人の本当に大事な口コミ情報は、信頼できる人から信頼できる人へのみ密やかに伝えられる。一般大衆がそれを知るころには事態はすでに半分以上水面から顔を出している。SARS後に爆発的に普及したSNSは、そんな中国人の口コミを広めるスピードを以前よりちょっと早めた、そんな感じだろうか。

 

早すぎる感染の拡大

しかし、それでも2003年に比べて今回のウイルス感染拡大スピードは早すぎると感じる(編集部中・前述の通り、1月29日には、感染者が5974人になったことが中国衛生当局によって発表され、SARSの感染者数を超えたことが明らかになった)。

SARSはパンデミック化する前の2002年11月、初めて広東省広州市の新聞で「原因不明の肺炎が流行っているようだ」という注意喚起の記事がネットに掲載された。だが、その記事はすぐに広州市政府から叱責を受けてネットから消され、その後メディアは「原因不明肺炎」についての報道ができなくなる。

しかし、翌年2月に広州市の病院に入院していた「原因不明肺炎患者」を視察した医師が旅先の香港で発病。そこからなにも知らされていなかった香港で爆発的に感染者が増大し、大騒ぎになった(余談だが、医師が発症し、感染が広がったホテルと、その入院で爆発的な院内感染が起きた病院は、わたしの香港在住時代に暮らしていた場所の目と鼻の先にあった)。

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